研究課題/領域番号 |
12J10465
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
川口 昂彦 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 超伝導 / 薄膜 / 接合 / MBE / 鉄系超伝導体 |
研究概要 |
NdFeAsO薄膜上への平坦な表面を持つCaF_2絶縁層の形成に取り組んだ。まず、NdFeAsO薄膜の成長温度と同じ800℃でCaF_2を成長した結果、CaF2層はエピタキシャルに成長したが、台形的な島状に成長し、NdFeAsO薄膜の表面の一部が露出したままであった。これでは、3層構造を作製した際に、一部で上部超伝導層と下部超伝導層が直接つながってしまう。 次に、CaF_2を成長温度T_g=400~800℃で30nm成長した後、in-situのままT_a=800℃で30分のアニールを行った。高速電子線回折(RHEED)による成長中のその場観察では、いずれのT_gでも、CaF_2成長直後では島状に成長していた。一方、成長後のアニールによって次第に平坦な構造へと変化していった。原子間力顕微鏡(AFM)による表面観察の結果、T_gの低いものほど、NdFeAsO露出領域が減少していることが分かった。400℃のサンプルでもごく一部NdFeAsO層が露出した部分が見られたが、これを除いたCaF2表面の平坦性は、RMS=0.77nmであり、十分に高いことが分かった。また、T_gが高温のサンプルではCaF_2とNdFeAsOの反応が見られたが、T_g=400℃のサンプルでは一方、さらに室温までT_gを下げたところ、CaF_2は多結晶的に成長し、平坦性はむしろやや悪化した。このことから、T_gには最適値があると言える。また、成長後のアニール温度を700℃にしたところ、表面平坦性はやや減少したが、NdFeAsO層全面をCaF_2層で覆われることが分かった。 以上のことから、CaF_2を400℃程度で成長し700℃程度でアニールすることで、界面反応を防ぎつつCaF_2層の表面平坦性を向上できることが分かった。この手法を用いることで、良好な界面を持ち、高い特性を持つ超伝導接合の実現が期待できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ca恥の平坦化は比較的予想より順調に成功した。しかし、CaF_2の平坦化の成果が得られた直後に、分子線エピタキシー装置の基板加熱用ヒーターが断線したことや、ビューポートの破損により、3か月程度、新規の成長が出来なくなった。そのために、平坦化がもし成功すれば行う予定だったジョセブソン接合の作製は次年度の課題となった。
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今後の研究の推進方策 |
CaF_2絶縁層の膜厚を薄くしていき、同様に平坦化が可能かを調べる。膜厚が目的の1nm程度になると基板からの影管が起きくなり、その平坦化には格子整合性が関わっている可能性がある。そこで、CeF_2とNaF_3を混晶し格子定数を調整した組成を用いて、絶縁層の平坦化に取り組んでいく。また、その上に金属層やNdFeAe(O,F)超伝導層を成長することで、トンネル接合やジョセフソン接合を作製する。
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