研究課題/領域番号 |
12J10616
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
笠井 一輝 芝浦工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | アルミナイズ / ニッケル基単結晶超合金 / 二次反応層 / 高温酸化 / 組織変化 |
研究概要 |
本年度は、(1)アルミナイズ、Pt-アルミナイズコーティングを施した試料に生じる組織変化について、異なる組織変化が生じる要因とその組織変化が決定される条件について検討し、また、(2)表面処理により導入される表面ひずみ量と組織変化の相関について詳細に検討した。 (1)試料の加熱条件が組織変化に及ぼす影響について航空機ジェットエンジン及び発電用ガスタービンエンジンを模擬する条件で試験した。また、コーティングの種類、前処理条件および加熱条件が組織変化に及ぼす影響について、各形成組織の形成条件、成長過程と絡めて総括し、実合金に形成しうる有害組織について、その形成条件を明らかにした。 (2)アルミナイズを施したニッケル基単結晶超合金の表面にブラスト処理を段階的に条件を変えながら施し、コーティングの前処理により基材表面に導入された歪み量がその後の組織変化に与える影響について検討した。この実験においては表面処理後の試料表面粗さ、EBSD(電子後方散乱回折法)を用いた基材の残留歪みに着目し組織変化条件を整理、解析した。その結果、SRZは、基材に導入された歪みによって基材に結晶方位差を生じた場合に再結晶により形成し、その初期形成量は総ひずみ量の増加と共に増加することが明らかとなった。また、その後の基材中への成長は拡散に支配され、放物線則に従うことも明らかとなった。 本年度の成果により、コーティングの施工条件、運転条件から形成する有害組織及びその成長を予測するための計算式を導出するという目標に大きく近づくことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はこれまで不明瞭であった表面ひずみが組織変化に及ぼす影響について明らかにし、これまで考察してきた組織変化過程について裏付けを得ることができた。また、形成した二次反応層が拡散則に従うことなど、組織成長を予測するために重要な知見が得られた。これらの結果より、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、基材となる合金の種類を変え、基材の影響について考察する。また、基材結晶方位が組織変化に及ぼす影響についてもより詳細に検討する。また、試験加熱温度を編牡牛、温度と形成組織の成長についての相関を明らかにし、諸条件からその後の組織変化と成長についての予測式を構築することを目標とする。課題としては、重要な因子である表面残留ひずみがいまだ半定量的にしか測定できていないという問題がある。この解決のためには、EBSD-Wilkinson法やX線による残留応力測定などを試みる予定である。
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