研究概要 |
Ni基単結晶超合金に耐酸化コーティングを施した場合, 高温下でボンドコート基材間に相互拡散が生じる。この結果として様々な組織変化が生じ、その結果, 基材の力学特性の低下やコーティングの劣化が引き起こされる。これまでの研究により、ボンドコートとしてアルミナイズを施した試料について、アルミナイズ製膜条件の違いにより二次反応層(Secondary Reaction Zone : SRZ)、二次拡散層(Secondary Diffusion Zone : SDZ)、ボイドといった異なる組織の形成が生じることが明らかとなった。基材の劣化につながるこれら組織変化の形成機構について、特に二次反応層(SRZ)に着目しその形成・成長機構に関して組織学的な観点から研究を行ってきた。本年度の主な結果を以下の2点、①SRZの3次元解析、②組織変化が耐酸化特性に及ぼす影響に大別し、その概要を列記する。 ①SRZの3次元解析 3D-EBSDを用いて, SRZの結晶粒を3次元可視化することに成功した. 連続断面像から3D像を作製し, 個々のSRZ粒の複雑形状を明らかとするとともに, SRZ形成に方位依存性が存在する理由について, SRZ内部の双晶が影響するという新たな知見を得た。 ②組織変化が耐酸化特性に及ぼす影響 基材/ボンドコート界面に生じる組織変化がコーティング表面に及ぼす影響について, SRZを通じたコーティング層中に存在するAlの内方拡散がコーティングの劣化を促進させ, 結果として耐酸化特性が低下することを明らかにした。
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