研究課題/領域番号 |
12J10694
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮地 和樹 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DCI)
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キーワード | マイケル・ポランニー / アカデミック・フリーダム / 文化自由会議 / ジョセフ・レゲンスタイン図館 |
研究概要 |
本年度は、マイケル・ポランニーの未公刊の論文、書簡、ノートなどの資料の収集に徹した。具体的には、シカゴ大学ジョセフ・レゲンスタイン図書館のリサーチコレクションセンターに所蔵されているMichael polanyi CollectionおよびCommittee on Science and Freedom Recordsを約半年に渡って調査した。マイケル・ポランニーの研究において、当センターの資料は重要な位置を占める。というのも、ポランニーのアカデミック・フリーダムの概念を明らかにするに際して、著作内で展開される議論だけでは不十分であり、彼の実践運動をも視野に含める必要があるからである。 ポランニーは1939年にSociety for Science and Freedom(以下SSF)という団体をオックスフォード大学のジョン・ベイカーとともに設立し、イギリスにおけるマルクス主義者ジョン・デスモンド・バナールと対峙することになる。その際ポランニーは、SSF内のメンバーと書簡や、研究会、フォーラムなどでメンバー内外の科学者・研究者と議論をすることで自身の思想を形成した。 また、戦後においては、冷戦構造の下で知識人の政治的独立を唱えた文化自由会議(Congress for Cultural Freedom)の下部組織、Committee on Science and Freedom(以下CSS)において委員長を務めた。CSSは、文化自由会議のもとで、世界の大学の問題についてフォーラムを開き活発に畿論し、A Bulletin of the Committee on Science and Freedomを刊行した。これらのポランニーの精力的な活動は、彼の思想の実践的な応用として評価するさいに重要である。しかしながら、こうした活動については彼の著作にはほとんど現れておらず、資料としても先のリサーチセンターにあるのみである。したがって、先行研究でも触れられることは少なく、焦点化して研究されたものはほとんどない。その意味で、本年度の資料収集は、これからの研究に向けての材料集めとして有意義であったといえる。実際、リサーチセンターに所蔵されている資料数は、収集したものだけでも数千点にわたり、これからその分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、資料収集が主立った活動であったため、学会発表数論文数は少ないものの、来年度以降のための資料が豊富に手に入った。研究計画の大幅な変便はなく、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度収集した資料をもとに、学会発表および論文の投稿を行う。大幅な計画の変更はないが、具体的な彊料の分析の結果、当初の仮説は徐々に修正されている。今後はその結果を成果にするとともに、博士論文の執笹を行う。
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