研究概要 |
本研究では,土構造物や斜面などの残留変形量を予測する手法として用いられる弾塑性変形解析やNewmark法に代わる数値解析手法として,剛塑性構成式を用いた変形解析手法を開発し,降雨や地震などの誘因条件や地質に関する素因条件などの単独・複合的な斜面問題に対しても合理的に変形量が評価できることを明らかにする. 当該年度では,以下の内容に関する研究を実施した. 1.大変形問題への適用 剛塑性変形解析では,応力履歴を考慮する必要がなく,座標・加速度・速度・変位など,求解に必要な値は節点が持って移動することに注目し,有限要素法の特有の課題である変形に伴う有限要素の計算不可な状態(要素の振れ状態)を回避することを目的に,局所的に要素を細分化するアルゴリズムの導入を図ることで,解の精度を向上させるとともに,大変形問題への適用を図った. 2.素因条件・誘因条件を評価するモデルの構築 降雨や地震などの誘因条件や,地質条件に関する素因条件など,斜面の崩壊メカニズムを評価するときは多くの要因を考慮する必要がある.そこで本研究では,これら斜面問題への適用を行うために,既存の研究にて開発した構成式やモデルに加え,地震外力,拘束圧依存性,ひずみ軟化,を評価するモデルを適用することで,これらの影響を合理的に評価できることを明らかにした. 本研究で得られた成果は,土木学会,地盤工学会,計算工学会の研究発表会にて報告している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度前半は,本学の異分野チーム編成融合型グローバルリーダー養成コースの関係上,4ヶ月間,東京大学生産技術研究所にて研究の一貫として模型実験を従事したが,その間も当該年度に立てた研究計画に沿った研究活動を行い,年度後半は本学に戻り研究に専念したため,おおむね研究計画通りに研究活動が行えたと思います.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,前年度では実施していない斜面問題への適用を図ることを目的に,前年度で実施した要素試験や模型実験を基にモデルの構築や,既往の模型実験に対する再現解析を行います.また,今年度は博士論文の提出があり,研究計画に沿った研究活動を行うと同時に論文をまとめる作業を行う必要があるため,前年度以上に余裕のある計画を立て,それを遂行していきます.
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