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2013 年度 実績報告書

シャペロン分子による立体制御を利用した新規不斉触媒の開発

研究課題

研究課題/領域番号 12J10748
研究機関東京大学

研究代表者

松澤 彰信  東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード不斉触媒 / 銅触媒 / アルドール反応 / thuggacin B
研究概要

私は昨年度、BINOL骨格を有するキラルなシャペロン分子がアキラルなアミド型配位子と比較的強い錯体を形成するという知見を得たので、本年度はその錯体を用いて触媒的不斉反応への応用を試みた。いくつかのキラルなシャペロン及びアキラルなアミド型配位子を合成し、様々な反応を試みたものの、残念ながら不斉誘起は見られなかった。しかしながらその過程で、プロピオン酸由来のチオアミドのアルデヒドのダイレクトアルドール反応が、メシチル銅錯体単独で(シャペロン非存在下)効率良く触媒されるという知見を得た。そこで私はこの反応の条件最適化を行い、またその有用性を示す目的でthuggacin Bの全合成研究を行った。
thuggacin Bには不斉炭素が8つあるが、その内3つはチアゾール環に隣接しており、チオアミドを用いた触媒的不斉ダイレクトアルドール反応を行った後にチオアミドをチアゾール環に変換することで効率的な合成が可能になると考えた。反応条件の最適化を行った結果、チオアミドの触媒的不斉ダイレクトアルドール反応は高収率・高立体選択的に進行し、得られたアルドール体は続く2工程でチアゾール環へ変換可能だった。このチアゾール中間体を種々変換することでthuggacin Bの全合成を達成した。
本研究はプロピオン酸由来のチオアミドを用いた触媒的不斉ダイレクトアルドール反応が銅触媒単独で進行するという初めての知見であり有機合成化学上重要な発見である。また全合成を通して示した通り反応の有用性も高いと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上述の研究(チオアミドの触媒的不斉ダイレクトアルドール反応及び全合成)は興味深く重要な研究ではあったものの、元の研究計画からは少し外れる研究であったため。

今後の研究の推進方策

チオアミドのアルドール反応の研究は一区切りが着いたので、シャペロン分子の研究に戻る。これまで合成してきたシャベックロン分子では不斉反応に用いた場合に不斉誘起が確認されなかったので、新規のシャベロン分子を考案し、合成したうえで様々な反応への応用を行う予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Direct Aldol Strategy in Enantioselective Total Synthesis of Thuggacin B2014

    • 著者名/発表者名
      Akinobu Matsuzawa, Christopher R Opie, Naoya Kumagai, and Masakatsu Shibasaki
    • 雑誌名

      Chemistry-A European Journal

      巻: 20 ページ: 68-71

    • DOI

      10.1002/chem.201304297

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 触媒的不斉ダイレクトアルドール反応を用いたThuggacin Bの全合成2014

    • 著者名/発表者名
      松澤彰信、Christopher Opie、熊谷直哉、柴崎正勝
    • 学会等名
      日本薬学会第134回年会
    • 発表場所
      熊本大学(熊本)
    • 年月日
      2014-03-28
  • [学会発表] Synthetic study of thuggacins2013

    • 著者名/発表者名
      Akinobu Matsuzawa, Christopher Opie, Naoya Kumagai, Masakatsu Shibasaki
    • 学会等名
      14^<th> Tetrahedron Symposium
    • 発表場所
      ウィーン(オーストリア)
    • 年月日
      20130625-28
  • [学会発表] 触媒的不斉アルドール反応を用いたThuggacin類の合成研究2013

    • 著者名/発表者名
      松澤彰信、Christopher Opie、熊谷直哉、柴崎正勝
    • 学会等名
      第39回反応と合成の進歩シンポジウム
    • 発表場所
      九州大学(福岡)
    • 年月日
      2013-11-05

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公開日: 2015-07-15  

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