研究課題
本研究課題の目的である固有ジョセフソンフォトニックデバイスの提案に向けて、本年度は固有ジョセフソン接合の示すテラヘルツ(THz)波放射特性を調べ、またジョセフソン接合系からなる新奇なメタマテリアル構造の電磁場応答特性を調べた。1)熱制御による固有接合からのTHz波放射強度の増大申請者は昨年度の研究において、メサ型固有接合内部の温度分布とTHz波放射強度の関係を詳細に調べ、メサ内部に存在する温度の不均一性がTHz波放射強度を高めている事を明らかにした。本年度はその成果に基づき、熱制御によるTHz波放射の増大を目指した新たなデバイス構造を提案した。申請者の提案した新デバイスでは、外部からのレーザー照射によってメサ構造の温度分布を制御する。申請者はレーザーの照射強度や照射位置による放射強度の変化を数値解析により調べ、このデバイス構造が1mWに達する高出力のTHz波放射が可能である事を示した。2)ジョセフソン接合メタマテリアルの示す異常な電磁場応答近年、新たな電磁波制御技術としてメタマテリアルが注目されている。メタマテリアルは対象とする電磁波の波長に比べて十分小さな「人工原子」と呼ばれる微小構造体から成る人工物質で、人工原子の形状や配置によって光学特性を自在に制御する事ができる。申請者は、この人工原子として固有撞合を用いた新たなフォトニックデバイスの提案を目指して、Loughborough大学のA. M. Zagoskin教授らと共同研究を行った。本年度は固有接合メタマテリアルの理論構築に向けて、従来型のジョセフソン接合を用いたメタマテリアルに関する数値解析を行った。ジョセブソン接合を人工原子としたメタマテリアルは接合の量子状態を反映した極めて多彩な電磁場応答を示す事が明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
25年度までの研究で、単体の固有ジョセフソン接合の光学特性を明らかにすることができた。また、多数の従来型ジョセフソン接合からなるメタマテリアル構造の電磁波応答を調べる数値計算プログラムを作成し、メタマテリアル構造における特異な光学特性を明らかにした。これらの成果を基に、固有ジョセフソンフォトニック結晶の光学特性を調べる数値計算プログラムの作成も進んでいるため、本研究課題の達成に向けておおむね順調に進展していると考えられる。
今後はこでの研究に用いた数値計算プログラムを拡張し、多数の固有ジョセフソン接合からなるフォトニック結晶構造やメタマテリアル構造の電磁場応答特性を調べていく。
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