研究課題/領域番号 |
12J10830
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
蔡 熙鏡 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | ニヴフ語 / サハリン方言 / 文法記述 |
研究概要 |
本研究の目的は、第一にニヴフ語の文法の全体像を正確に、かつ十分に記述することである。第二の目的は、他言語との対照や類型論的な研究に役立つことである。 今までのニヴフ語に関する先行研究を見ると、その多くがアムール方言を対象としており、サハリン方言を網羅的に扱っている研究は管見の限り見当たらない。こうした実情から、平成24年度にはサハリン島において現地調査を行い、サハリン方言のテキスト資料と基礎語彙を収集した。 収集した資料を基に、サハリン方言の音韻論について考察を行った。形態論に関しては、ニヴフ語において「語」とは何かについて、形態論の観点から考察を行った。さらに、アスペクトに関して、アンケート調査を行った。アンケートには他の16言語で同じ項目を用いて調査を行っている東京外国語大学の『語学研究所論集』(2010)のアンケート資料を用いた。これによって、他の言語との対照研究にもこの資料を利用することができる。 現地調査を通じて得られたテキスト資料の一部は、雑誌に投稿している。先行研究では、記述のない形式もいくつか見つかっており、これらの形式に関してはこれから詳しく考察してく必要がある。サハリン方言の文法記述は、まだ明らかになっていないニヴフ語の方言研究にも役に立つものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2回の現地調査を通じて、テキスト資料と基礎語彙を収集することができた。テキスト資料の一部は雑誌に投稿している。しかしながら、インフォーマントの健康上の問題が生じたことから、当初予定していた量を集めることができなかった。新しいインフォーマントを確保する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に引き続き、今年度も2回の現地調査を予定している。現地調査を通じて、さらにデータの量を増やしていく必要がある。ニヴフ語話者のほとんどが70歳以上の高齢者であり、健康上の問題のため調査が思い通りに進まないことがある。今後、インフォーマントの数を増やしていくことが必要である。この問題に関しては、サハリン島で長年調査を行っている他の研究者と相談しながら、解決していく。
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