研究課題/領域番号 |
12J10839
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
菊田 真吾 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫機能研究開発ユニット, 特別研究員(PD)
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キーワード | 酸化ストレス / 遺伝子導入 / エレクトロポレーション / ネムリユスリカ / 転写活性 |
研究概要 |
当該年度の研究計画は1.ネムリユスリカ由来培養細胞株への外来遺伝子導入/発現法の確立と2.直接的な転写活性量の測定法の構築の二つであり、そのいずれも達成された。課題1の遺伝子導入法はエレクトロポレーション法とプロモーターの改良で高発現の導入系を構築することができた。ルシフェラーゼ活性測定など従来のレポーターアッセイ系は、転写活性よりも翻訳活性を測定していると考えられる。研究遂行者の発案により、定量PCR装置を用いた直接的に転写活性量を測定する解析系が構築された。トランスフェクション時のプラスミドをDNaseで破壊し、プラスミドベクター特異的プライマーを用いた定量PCR法を用いて転写活性量を測定する本手法は、分泌型アルカリホスファターゼ酵素活性を測定するよりも高感度且つ、転写活性測定系として適していると考えられる。課題1と2の手法を組み合わせることで、非常に高感度に転写レベルを測定することが可能になった。酸化ストレス応答因子とプロモーターの結合部位を特定するため、酸化ストレス応答性エンハンサー(oxidative stress responsiveel ements : ORE)候補領域の一部を欠失したデリーションクローンを作製した。レポーターアッセイを行い、転写活性が消失する領域の絞り込みを行った。現在のところ、転写開始点上流2kb以内にORE候補領域の存在が推定されたので、より詳細な絞り込みを遂行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度における研究計画は達成されたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に記載した通りに研究を遂行する。昨年度に構築した転写活性測定法と作製したデリーションクローンを用いて、OREの絞り込みを行う。絞り込んだORE候補配列を既知のデータベースで照合する。ビオチンを標識したOREのDNA配列とH_20_2処理を施したユスリカ培養細胞から抽出した核タンパクを用いたゲルシフトアッセイによって、OREと核タンパク質の結合の有無を検証する。ビオチン標識DNAと結合する核タンパクをアフィニティクロマトグラフィーで回収し、精製したタンパクのアミノ酸シークエンスを行う。アミノ酸配列を既知の転写因子と照合することで、遺伝子の発現を制御する酸化ストレス応答因子の同定を試みる。この応答因子が未知の転写因子であった場合、当研究室で構築されつつあるネムリユスリカゲノムシークエンスを駆使して、転写因子をコードする遺伝子の塩基配列を決定する。決定後、この因子を抗原とするペプチド抗体を用意する。転写因子に対するsiRNAを合成し、ノックダウンPv細胞の遺伝子発現量を調査する。
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