申請者は、臨床診断を目指した新規近赤外蛍光プローブの開発を行っている。近赤外光を用いた蛍光イメージング法は、その時空間分解能の高さおよび簡便性から、生体内での様々な生命現象を捉えるための手法であり、最終的には臨床での応用も望まれている非常に優れたイメージング法である。一方で、近赤外蛍光イメージングに用いる近赤外蛍光プローブの開発という点では、蛍光の制御原理の少なさや、生体内での動態制御法、プローブの生体内での安定性などの多くの解決すべき問題点が存在する。申請者は、これら問題点1つ1つ解決し、実用性の高い蛍光プローブの開発を行っている。 具体的には、生体内でのプロテアーゼ活性を検出する近赤外蛍光プローブと炎症をターゲットとした近赤外蛍光プローブの2つの開発を行っている。特に、最も問題となっているプローブの生体内での安定性を改良した蛍光プローブの開発を行い、生体内で高感度にプロテアーゼ活性や炎症部位のイメージングを可能にし、疾患の原因究明等の基礎研究から臨床診断への応用へと貢献することを目指している。また、本研究はそのプローブ開発過程で様々な近赤外蛍光プローブの開発に必要な設計原理を確立し、近赤外蛍光イメージング法の発展に寄与する研究である。 現在までの進捗状況としては、当初の予定通り新規近赤外蛍光プローブに応用する新規近赤外消光団の母核の開発、またそこで得た知見を基にした新たな近赤外光領域における蛍光制御原理を利用した活性酸素種検出蛍光プローブの開発を達成している。
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