研究課題/領域番号 |
12J10869
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川口 充康 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(PD)
|
キーワード | ケミカルジェネティクス / ショウジョウバエ / スクリーニング / eiger / systemic |
研究概要 |
本年度において、私はショウジョウバエを用いたphenotype-based screeningの系を確立することを目的として研究を行った。まず、96-well plateを用いてショウジョウバエを安定してembryoからadultにすることが必要と考えられ、エサの量、embryoの数、水分、plateの形状など最適化を図ったが3割程度でしかadultにできず、系の構築は非常に困難であった。先行研究(Loss,Cagan et al.Nature 2012)では本系に比べ遥かに大きなスケールで行っていることを考えると、私の系のスケールでは安定したショウジョウバエの発生は難しいと判断した。ショウジョウバエを用いたケミカルジェネティクスの目的がsystemicな現象・応答を含んだ中でのケミカルスクリーニングであることを考えると、ショウジョウバエの成虫原基およびfat bodyやbrainの共培養によるケミカルスクリーニングの系構築も本来の目的と大差はないと考えられる。そこで、現在ショウジョウバエTNFであるeigerをTubulin gene switchを用いてwing discで発現させ培養する系の構築を行っている。GFPを用いた解析で、gene switchの誘導剤であるRU486の添加により3hr後から遺伝子の発現が始まることが確認でき、実際にeigerの発現誘導によりwing discに細胞死が誘導できることも既に確認している。現在スクリーニング系構築に向けてpositive controlの探索およびヒット化合物と判断するcriteriaの設定を熟慮している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来のショウジョウバエ個体を用いたスクリーニング系の構築は困難であることが分かった。現在、成虫原基とfat bodyなどを用いた共培養の系の構築を行い、本来の目的に近い系の構築を図っている。
|
今後の研究の推進方策 |
wing discとfat bodyを用いた共培養の系の構築を現在行っており、Tub^<GS>>Eigerで培養wing discに細胞死を誘導できることが分かった。今後はpositive controlを見出し(JNI(阻害剤や還元剤が候補)、スクリーニング系を評価したい。このような系は世界で初めてなので基礎的なデータに関しても適宜取っていく。その後は、大規模なケミカルスクリーニングを行い、non-apoptoticな細胞死の阻害剤を探索したい。
|