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2013 年度 実績報告書

扁桃体外側核による恐怖発現の切り替えメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 12J10900
研究機関東京大学

研究代表者

野中 綾子  東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード恐怖記憶 / 前頭連合野 / 扁桃体
研究概要

1. 扁桃体外側核(LA)に可塑性を起こさせる部位の候補として、LAと関連し恐怖記憶による形態的な変化が示されている部位である前頭連合野(FrA)に着目し、恐怖記憶形成時の活動の変化を観察した。神経活動はin vivoカルシウムイメージングで記録した。記録中に、マウスに特定の音と電気ショックを同時に与えることで、音と電気ショックの関連を学習させた。恐怖記憶形成時の神経活動の頻度を算出すると、音とショックを与えている間の活動頻度は、与えていない間に比べて有意に高いことが明らかとなった。FrAは記憶の形成や固定化に寄与しているものと考えられる。また、神経活動依存的に発現する遺伝子を検出することにより、恐怖記憶形成時にFrAで活動する神経細胞の検出も行った。恐怖記憶は、特定の実験環境の中で電気ショックを与えることで形成させた。実験環境によって活動する細胞は電気ショックによっても活動しており、恐怖記憶形成に用いられた二つの刺激がFrA内の同じ神経細胞に収束することが示唆された。
FrAと恐怖記憶の関係は全くと言っていいほど明らかになっていなかった。今回の結果は、恐怖記憶のメカニズムや記憶形成時の情報の流れをより深く理解するために重要である。
2. 恐怖記憶形成に伴うLAおよび扁桃体基底核(BA)の神経細胞集団の活動の変化(平成24年度に報告)について、Journal of Neurosceince誌より電気生理学的な神経活動の観察を求められた。神経活動に依存して発現する遺伝子であるArcのプロモーターの下流で、蛍光タンパク質dVenusを発現するマウスを用いて、恐怖記憶想起時に活動する神経細胞の電気生理学的な活動を観察した。神経細胞の入力に対する応答を観察することを要請されており、上記の手法を用いて現在観察中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1. 恐怖の制御について従来その役割が明らかとなっていなかった前頭連合野について神経活動の変化を明らかにしており、恐怖の制御機構をより詳細に理解できる知見が得られた。
2. 扁桃体の研究結果ですでに論文を投稿できており、再投稿への準備が進行中である。

今後の研究の推進方策

1. 恐怖記憶においてFrAの果たす役割をより詳細に明らかとするため、トレーサーを用いてLAを含む他の領域との投射関係を観察する。また、光遺伝学的手法を用いて特定の回路を抑制・活性化することで、FrAのどの経路がどのような役割をしているのかを明らかにする。これらの結果をまとめて、論文を投稿する。
2. 扁桃体の神経活動の変化について、電気生理学的な観察の結果がそろい次第、再投稿する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 恐怖条件づけ時の前頭連合野の神経活動2013

    • 著者名/発表者名
      野中綾子、松木則夫、野村洋
    • 学会等名
      Neuro2013
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府)
    • 年月日
      2013-06-22
  • [学会発表] Neuronal activity in the frontal association cortex during fear conditioning2013

    • 著者名/発表者名
      Ayako Nonaka, Norio Matsuki, Hiroshi Nomura
    • 学会等名
      第6回MCCS-Asiaシンポジウム
    • 発表場所
      京都国際会議場(京都府)
    • 年月日
      2013-06-19

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公開日: 2015-07-15  

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