本研究の研究目的は、優れた非線形光学特性・強誘電性を示すKNbO3を、ガラスの結晶化法により作製することである。 KNbO3は、単結晶の育成時やセラミックスの焼結時にK20が揮発し、組成変動が起こるため、合成が非常に困難である。ガラスの結晶化法は、通常のセラミックス焼結法よりも低温・短時間で焼結が可能であるという特長があるが、これを利用することでK20の揮発を抑え、KNbO3を簡便に合成できると考えた。 研究実施計画では、KNbO3が析出する温度よりも低温で析出する、準安定相の結晶構造を明らかにすること、そして、ガラスから最終的にKNbO3が析出するまでの結晶化挙動の解明に焦点を当てていた。 平成24年度は、主に後者の結晶化挙動の解明を試みた。評価には、主にX線回折(XRD)測定、試料断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察、示差熱分析(DTA)を用いた。その結果、準安定相はガラスの表面から析出し始め、これよりも高温でKNbO3がやはり表面から析出し始めることを確認した。KNbO3が析出し始めた試料のXRD測定を行ったところ、準安定相に帰属される回折ピーク強度が弱まることを確認した。この実験とは別に、準安定相の結晶化量を多くすることでKNbO3の析出量も多くなることを確認した。これらの結果から、準安定相はKNbO3の前駆体結晶であると結論づけた。 研究活動の一環として予定していた、国際学会、国内学会で研究発表を行った。
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