研究概要 |
①TRPA1・TRPV1アゴニストの探索 : 平成23年度までの研究で、ドリアン中のスルフィド(diethyl disulfide, diethyl trisulfide)にTRPA1・TRPV1活性のあることを見出した。本年度は、上記に示したsulfide 以外で、ドリアンに含まれるsulfide化合物6種についてTRPA1-TRPV1活性を測定すると共に、簡易な構造・活性相関研究を行った。またドリアンsulfideのTRPA1・TRPV1以外のTRP (V2, V3, M8)に対する活性・阻害活性を測定し、TRPに対する選択性を調べた。その結果、ドリアンsulfideはTRPV2, V3, M8には作用せず、TRPA1・TRPV1に対してのみアゴニストとして作用することがわかった。 ②TRPV1アンタゴニストの探索、阻様様式と阻害する刺激の選択性(阻害特性)の解析 : カプサイシン受容体TRPV1は、カプサイシン・熱・酸刺激により活性化する受容体である。平成23年度までに、Voacanga africana由来アルカロイドVoacangineがTRPV1において、カプサイシンを競合阻害することを明らかにした。本年度はVbacangineのTRPV1における熱・酸阻害作用を調べた。そのためにまず、TRPVl発現細胞と蛍光プレートリーダーFlex stationを用いて、熱・酸によるTRPV1活性評価系を確立した。確立した測定系を用いてVoacangineの熱・酸に対する阻害作用を調べたところ、Voacangineは熱による活性化のみ阻害し、酸による応答を抑制しないことがわかった。これらの結果からVbacangineは、TRPV1においてカプサイシンと熱を選択的に阻害する特性をもつことが明らかになった。 ③TRPV2・TRPV3発現細胞株の樹立と活性測定系の確立 : TRPV2・TRPV3に対する新規のアゴニスト・アンタゴニストを探索するために、TRPV2・TRPV3受容体発現細胞を用いた活性評価系を確立した。TRPV2については、一過的発現細胞を、TRPV3にっいては安定発現細胞を用い、最適なポジティブコントロール(アゴニスト・アンタゴニスト)と培養条件を決定した。
|