研究課題/領域番号 |
12J11004
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
松居 宏枝 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員DC2
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キーワード | 近代化 / 国際標準化 / 不平等条約体制 / 対外問題 / 信教の自由 / ローレンツ・フォン・シュタイン / オーストリア・ハンガリー帝国 / 東アジア政策 |
研究概要 |
近代日本が不平等条約改正交渉の中で直面し、欧米列強から模索と検討を迫られた国際標準の一つとして宗教を取り上げ、その成果の一部を学会発表として公表した。また、その中でも伊藤博文らに重要なアドバイスを行ったローレンツ・フォン・シュタインについて国民経済学者としてのオーストリアでの活動に着目し、オーストリア・ハンガリー帝国の東アジア商業(貿易)政策の中で紡がれる日本との接点についての史料調査および考察をした。 不平等条約体制下において近代日本が模索した国際標準化、という視点から研究を行う中で、まず非キリスト教国である日本が直面した宗教の異同は大きな問題であると言わざるを得ない。これまでは主に内政事情から大日本帝国憲法第28条、いわゆる「信教の自由」条項が検討されてきたが、本研究においては明治政府の対外問題として取り上げた。不平等条約締結から、岩倉使節団、伊藤博文の渡欧、大日本帝国憲法制定という近代化のプロセスの中で、国際事情を加味して、また国際状況の影響を多分に受けながら「信教の自由」が憲法の中に位置づけられていく過程を明らかにした。 その中でもとりわけ大きな貢献を果たしたと言えるのがシュタインであるが、日本政府がシュタインを珍重していたこと等は明らかになっているものの、シュタインがなぜ日本に関心を寄せたのかについては明らかになっているとは言い難い。本年度は、東アジア特に日本をめぐる不平等条約体制の中での欧米列強の主導権争いと利害関係、またそこで求められた近代国家としての日本に着目し、オーストリア・ハンガリー帝国の商業(貿易)政策という側面から、日本との親密な関係構築の意義とシュタインの仕事についてより具体的にするべく史料調査を行い、分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画していた論文の発表は達成されていないが、研究計画を実施する中で、別の論点の発見や新たな指摘が得られ、それらを統合して勘案することによって今後の研究の進展が期待されることから、現時点では計画したもの以上の達成があると実感している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度から引き続き、国内史料およびオーストリア・ハンガリー帝国の東アジア政策に関わる史料を使った研究を深め、考察を行う。また、不平等条約改正交渉における日本の近代化、行政国家化という新たな視角の実証に向けて、オーストリア・ハンガリー帝国が日本との交渉が委ねると共に条約改正交渉において強力なイニシアティブを発揮したドイツ帝国と日本との外交交渉等について、在独の史料を踏まえた調査・研究を行っていきたいと考える。
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