研究課題/領域番号 |
12J11068
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
林 健二 九州大学, 医学研究院, 特別研究員(PD)
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キーワード | gap junction / connexin / 時期特異的ノックダウン / 大脳皮質視覚野 / 方位選択性 |
研究概要 |
発達初期において、gap junctionを介した神経活動の同期が起こっており、正常な回路機能形成への関与が示唆されている。しかしながら、このような発達期の同期性が回路形成にどのような影響を与えているかは明らかになっていない。本研究は、connexinの発達期特異的なノックダウンにより、gap junctionが成熟した神経回路の形成にどのような機能を果たしているかを大脳皮質の視覚野に着目して検証する。 本年度は計画通り、in vivoノックダウンシステムの立ちあげを中心に行なってきた。本研究では発達期なノックダウンを行う必要があるため、tet作動性のshRNAベクターの作成を行った。現在のところ、in vivoでtet依存的にノックダウンを行なっている研究がほとんど見当たらないため、市販のノックダウンベクターを様々に改変し、ノックダウン効果、tet依存性の評価を行うことで最適なベクターを得ることにした。現在のところ、2つの有力な候補ベクターを得ており、更に詳細な実験により実際に使用するベクターを決定しようと考えている。 同時に、ノックダウンを行うconnexinのサブタイプの決定を行うために、過剰発現系で脳機能に最も影響の現れる候補分子をin vivoイメージングでスクリーニングしている。現在のところ、connexin26の高発現で方位選択性に異常が見られるということが明らかになってきた。今後、connexin26を上記のスクリーニングにて取得したベクターを用いて発達期特異的にノックダウンを行い、方位選択性に与える影響を解析する予定にしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、in vivoノックダウンシステムの立ちあげを行うことを目標としていた。現在のところ、実際に使用するノックダウンベクターは決定していないため、完全に計画どおりとはいかなかったものの、実際にノックダウンを行うことが可能である候補ベクターを2つ得ることができた。さらに、発達期において強く機能しているconnexinのサブタイプを同定するために、発達期特異的に過剰発現させ、機能がどのように変化しているかをin vivo imagingにて検証する実験を行い、connexin26の過剰発現において方位選択性を低下させることを示唆するデータが得られた。こちらの実験は、計画時には予定していなかったものの、平成25年度以降の研究をさらに効率的に行うために、非常に有用なデータとなる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、過剰発現系で得られたconnexinの候補分子をin vivoで発達期特異的にノックダウンし、成体においてどのような視覚機能に異常が見られるかを詳細に解析する予定である。また、ノックダウンが発達期の活動にどのような影響を与えているかを解析する。 当初、ノックダウンベクターはレンチウイルスを用いて導入する予定であったが、in uteroエレクトロボレーションを用いた遺伝子導入が非常に効率的であったため変更した。In uteroエレクトロポレーションを用いることで、複数ベクターを同一細胞に導入すること、また、時期を選ぶことにより、任意の層にベクターを導入することが可能となった。
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