研究概要 |
減数分裂期において形成される高頻度組換え部位に、塩基配列の共通性は無いことが知られている。そこで、高頻度組換え部位がゲノム上の特定の領域に形成される分子基盤を明らかにするために、出芽酵母で明らかにされた3,604箇所の二本鎖DNAの高頻度切断部位(Pan et al., 2011)、分裂酵母で明らかにされた236箇所の二本鎖DNAの高頻度切断部位(Hyppa et al., 2008)、及びマウスで明らかにされた9,874箇所の二本鎖DNAの高頻度切断部位(Smagulova et al., 2011)を対象として、柔軟性のコンピュータ解析を行った。その結果、出芽酵母と分裂酵母の二本鎖DNAの高頻度切断部位は周辺領域に比べて極めて硬い物性を持つ傾向があるが、マウスの場合、逆に、周辺領域に比べて極めて柔らかい物性を持つ傾向があることが判明した。また、出芽酵母では、より硬い部位ほど、より高頻度に切断されやすい傾向があることも示唆された。この結果は、DNAの物性が高頻度組換え部位形成に積極的に関与している可能性を示唆している。更に現在、二本鎖DNAの安定性やタンパク質による変形能のコンピュータ解析も並行して進めており、予備的ではあるがこれまでの解析で、二本鎖DNAの高頻度切断部位はこれらに関しても特徴的な性質を示すことが示唆された。なお、コンピュータ解析には、独自に開発したコンピュータプログラム(GEN07及びMIU12)を使用している。
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