研究課題/領域番号 |
12J11124
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
田島 英朗 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 特別研究員(PD)
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キーワード | PET / 画像誘導放射線治療 / 腫瘍追跡 / OpenPET / リアルタイムイメージング |
研究概要 |
OpenPETによる腫瘍追跡を治療中に行うPET画像誘導放射線治療の実現を目指して、まず、短い時間窓内で得られる少数カウントからの画像再構成と腫瘍追跡の実現可能性検討をモンテカルロシミュレーションによって行った。具体的には、腫瘍追跡のための薬剤として、現在腫瘍マーカーとして最も優れている^<18>F-FDGを想定し、4D XCATファントムに標準臓器のSUVを文献値から割り当て、さらに肺に球形の腫瘍を埋め込んだ状態を設定した。370MBqの^<18>F-FDGの投与後100分経過した後に腫瘍追跡を始めることを想定し、リストモードデータを生成した結果、0.5秒の時間窓に対しておよそ1Mカウントの真の同時係数データが得られた。様々な腫瘍の大きさとSUVに対して生成したリストモードデータを、時間窓ごとに再構成して、パターンマッチングによる腫瘍位置の抽出を行った結果、腫瘍への集積が50kBq以上(腫瘍サイズ20mm以上でSUVが5以上)あれば、PETの分解能程度の精度で腫瘍追跡が行える可能性が示唆された。 再構成アルゴリズムの高速化として、GPU実装の最適化に取り組んだ。これまでに、画像再構成の計算で最も時間のかかる順投影演算を約2.2倍高速化することに成功した。また、複数GPUへの対応として、4GPUで動作させることで、3.8倍の高速化が可能であることを示した。 今年度の大きな成果の一つとして、第二世代開放型OpenPET「Single-Ring OpenPET」の提案が挙げられる。この新しいジオメトリは、特に粒子線治療中の線量モニタリングや、腫瘍追跡に特化しており、これまでの2重リング方式の「Dual-Ring OpenPET」に比べて、少ない検出器で高い中央感度を達成できることを解析的に示した。また、提案するジオメトリをブロック検出器により実装した場合,楕円リングをずらしながら並べた形となり、通常の真円リングのPETの装置と比較して、特殊な形状であるために、再構成像上のアーチファクトや空間分解能の劣化が懸念されたが、DOI検出器を用いることで視野内で均一な空間分解能を実現可能なことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画していた研究に加え、さらに放射線治療との組み合わせに特化したSingle-Ring OpenPETの提案を行い、研究目的であるPET画像誘導放射線治療を行うための装置としてもより効率的であることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
まず、ROI再構成に動き情報を組み合わせる画像再構成法の開発を行い、4DXCATファントムを用いて評価を行う。そして、ROI再構成に必要なデータを効率よく選別し、転送するデータ転送制御アルゴリズムの開発を行う。また、引き続きGPU実装の最適化を進める。
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