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2013 年度 実績報告書

法の素人の量刑判断に関する実証的研究 -直感から理性へ-

研究課題

研究課題/領域番号 12J40061
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

綿村 英一郎  慶應義塾大学, 文学部, 特別研究員(RPD)

キーワード死刑制度 / 死刑判断 / 量刑判断 / 応報 / 刑事裁判 / 心理学的研究
研究概要

平成25年度は、前年度に作製した実験材料を用いての実験と死刑制度に関する実験や調査を行った。
本研究の目的は、法の素人の量刑判断の実験的検証であり、その目的上、実験材料には実際の刑事裁判と内容も流れも近い判断材料を参加者に見せ、その量刑判断を求める必要がある。そこで前年度は、専門家の意見もふまえ、本格的な裁判ビデオを作製した。本年度はそのビデオを使用することで、実際の裁判にかなり近似した条件下における素人の量刑判断を明らかにすることができた。具体的には、量刑判断をするときの基本となる応報的動機(犯罪の重大性に応じて量刑の重さを決めようとする心理)は、未就学児でも抱いているようなより素朴理論的「悪と報い」という心理学的対応関係性に基づいている可能性があるということであった。
さらに本年度は、先述の裁判ビデオを用い、量刑判断の中でも究極の刑罰である死刑について、素人の判断と制度そのものに対する考え方を検証した。その結果わかったことの1つ目は、裁判官3名と裁判員6名によって構成される評議体において、他者の判断が死刑判断に影響するということであった。実際の死刑判断は多数決によって決まるが、本研究から、死刑反対が多数派の場合には死刑判断には何ら影響しないが、死刑賛成が多数派の場合には死刑判断が促進されやすいという非対称的な結果を得た。さらに興味深いことに、後者(死刑賛成が多数派)の場合であっても、死刑賛成がやや多数の場合(評議体9名中、参加者当人を除く8人中5人)は死刑判断が促進されるが、圧倒的多数の場合(8人中8人)には死刑判断がむしろ抑制されることが示された。さらに、25年度は、インターネット調査を2回行い、死刑制度そのものに対する素人の考え方について検証した。その結果、2回の調査に共通して、死刑制度に賛成する割合は70%以上とかなり高く、賛成する理由としては「応報」と「一般予防(刑罰によって社会全体における犯罪抑止を期待しようという考え方)」の2つが挙げられやすいことが示された。

今後の研究の推進方策

(抄録なし)

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 量刑分布グラフによるアンカリング効果についての実験的検証2014

    • 著者名/発表者名
      綿村英一郎・分部利紘・佐伯昌彦
    • 雑誌名

      社会心理学研究

      巻: 30(印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 死刑判断に関する実証的考察2013

    • 著者名/発表者名
      綿村英一郎・板山昂・山﨑優子・佐伯昌彦・吉井匡
    • 雑誌名

      法と心理

      巻: 13 ページ: 98-103

    • 査読あり
  • [学会発表] 量刑判断に関する心理学的研究2013

    • 著者名/発表者名
      綿村英一郎
    • 学会等名
      第25回CAPSインタラクション研究会
    • 発表場所
      関西学院大学
    • 年月日
      2013-11-07
    • 招待講演
  • [学会発表] 人は不祥事の責任をどう考えるか? ―責任の対象と種類による分析―2013

    • 著者名/発表者名
      綿村英一郎・渡辺匠・唐沢かおり
    • 学会等名
      日本社会心理学会第54回大会
    • 発表場所
      沖縄国際大学
    • 年月日
      2013-11-03
  • [学会発表] 量刑相場グラフが裁判員の量刑判断に与える影響2013

    • 著者名/発表者名
      綿村英一郎
    • 学会等名
      法と心理学会第14回大会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      2013-10-13

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公開日: 2015-07-15  

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