研究課題
蛋白質間相互作用検出系は、創薬・診断など幅広い分野で応用可能な重要技術である。私達は、ホタルルシフェラーゼ(Fluc)を応用して、新規蛋白質相互作用検出系FlimPIAを構築した。FIucの発光反応は、アデニル化反応とその後に続く酸化的発光反応の2段階に大別できる。FIimPIAでは、アデニル化反応はほぼ正常で、酸化的発光反応が非常に遅いFluc変異体(ドナー)と、逆にアデニル化反応が遅く、酸化的発光反応がほぼ正常な変異体(アクセプタ)を作製し、利用している。当該年度は、FIimPIAの改良を行った。Flucはアデニル化反応から酸化的発光反応に移る際、その構造を変化させる。アクセプタを酸化的発光反応構造に、化学修飾、またはジスフィルド結合で固定した。FlimPIAにおいて最も問題となる、やや高いバックグラウンド発光は、アクセプタの残存アデニル化活性によるため、この改良によりバックグラウンド発光が著しく抑制された。その結果、シグナル/バックグラウンド比が従来のFlimPIAと比較して、約3倍、高くなり、抗炎症剤・抗癌剤であるrapamycinの検出感度が、従来のFlimPIAの約16倍に、蛋白質間相互作用検出系の汎用法であるProtein-fragment Complementation Assay (PCA)の約10倍に向上した。この改良により、薬剤探索の感度・効率を著しく向上できたと考える。
2: おおむね順調に進展している
まだ薬剤探索は行っていないが、当該年度に成功したFlimPLAの改良は、今後の薬剤探索の効率著しく向上させるものであるため。
現在さらに、反応条件の最適化、及び、細胞内でより高い発光値を示すFluc変異体の取得ができつつある。また、実用化に向けての企業との共同研究を始め、蛋白質間相互作用検出系としてFlimPIA臨が確立するのが間近となった。早急にFlimPLAを確立し、ペプチドライブラリーからの薬剤探索を行う。
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Analytical Chemistry
巻: (印刷中)
10.1021/ac403065v
バイオサイエンスとインダストリー
Analytieal Chemistry
巻: 85 ページ: 7935-7940
10.1021/ac4016825
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