研究課題/領域番号 |
12J40096
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高田 理江 京都大学, 生存圏研究所, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | C. subvermispora / リグニン分解 / 糖質分解酵素 |
研究実績の概要 |
白色腐朽菌C.subvermisporaは、セルロースを残しリグニンを選択的に分解するという特性から、バイオマス利用の観点からもそのメカニズムが注目されている。これまで、セルラーゼ活性が低いことやフェントン反応によるセルロースの分解抑制などが報告されているが、糖とリグニン分解機構に何らかの関係があると考え、遺伝子発現/抑制、酵素の発現・活性から解析を試みた。 本年度は,木材中のリグニンを選択的に分解する白色腐朽菌C.subvermisporaのリグニン分解機構と糖質加水分解機構との関連について明らかにするため、主に、炭素源の違いによるリグニン分解酵素や代謝酵素の遺伝子発現をリアルタイムPCR法を用いて解析した。 これまでの研究で、プレート培地中のリグニンモデル化合物の分解が、添加する炭素源によって異なることがわかっている。そこでそれら炭素源の違いによる遺伝子発現量の違いをリアルタイムPCR法で比較した。リグニン分解酵素である、マンガンペルオキシダーゼ(Mnp)とラッカーゼ(Lac)、およびゲノムDNA上の遺伝子のアノテーションを行い見いだした代謝系酵素のプライマーを用いて解析を行った。その結果、5時間までの測定でMnp, LacのRNA発現に違いが見られた。発現量の比較としてハウスキーピング遺伝子にはグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼとβ-チューブリンを用いた。現在、代謝系遺伝子および糖質加水分解酵素の解析検討を行っている。また、異なる糖源で培養した菌体外のリグニン分解酵素および糖質分解酵素の分析を二次元電気泳動(2DE)で行うため培養条件の検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,リグニン分解酵素や代謝酵素の遺伝子発現をリアルタイムPCR法を用いて解析した。リファレンス遺伝子や添加する糖量、培養時間を比較し、遺伝子発現/抑制のデータを得ることができた。しかし、酵素のタンパク質側からのアプローチなど、条件検討に時間を費やしたため、転写因子の同定には至らなかったが、本年度得られた遺伝子発現量などの結果を踏まえて解析を進めていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
C.subvermisporaのタンパク質のリグニン分解酵素および糖質分解酵素の発現変動を異なる糖源培養で比較し解析する。 二次元電気泳動によって各種条件で培養した菌体内、菌体外のタンパク質を分離し、各条件下における発現に違いが見られたスポットをMALDI-TOF-MSで解析する。同時に、リグニン分解酵素および糖質加水分解酵素の活性を測定する。遺伝子発現に差が生じた転写因子に関して、リグニン分解関連酵素と糖質分解酵素の発現制御に関わる転写因子を解明する。
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