研究概要 |
ダニアレルギー特異的ワクチンの開発基盤の確立を目的として、コナヒョウヒダニ(D.farinae)の完全長cDNAライブラリのうち、既に塩基配列決定済みの11,520クローンを基に、新規ダニ抗原候補分子のスクリーニングを行った。これまでの研究成果により選択された20の既知抗原クローン群(Group D)および20の新規抗原候補クローン群(Group HA)を個々に、真核細胞用発現プロモーターCEを有するベクター(pCE-FL4)に組換えた。D,HA,およびコントロールの空ベクター(pCE-FL4)を、GeneGunを用いてマウスに免疫し、免疫応答を解析したところ、D,HAともに、ダニ抗原特異的な脾臓細胞および所属リンパ節細胞の増殖およびサイトカイン産生量が上がっていた。このことから、免疫したこれらのクローンによるマウス体内でのダニ抗原特異的免疫応答の誘導が確認された。 次に、D,HAでマウスを免疫した後、ダニ粗抗原のチャレンジによりアレルギー性喘息を誘導し、ワクチンによるダニアレルギー抑制効果を気管支肺胞洗浄により解析した。その結果、肺に浸潤した好酸球数はD,HA群ともコントロール群と差が無く、これら計40クローンによるダニアレルギー予防効果はみられなかった。ここまでの成果は、第41回日本免疫学会にて発表した。 一方で、近年アレルギーにおける役割が注目されてきているTh17細胞が産生するIL-17が、B細胞クラススイッチに与える影響を解析し、論文発表した(Cytokine 2012)。この解析結果を踏まえ、今後さらにワクチンの探索と評価を進めていく。
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