研究課題/領域番号 |
12J40189
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮澤 尚里 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(RPD)
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キーワード | 環境資源管理 / 平和構築 / 市民社会 / 慣習法 / 東ティモール |
研究概要 |
本研究は紛争後の国の平和構築プロセスにおける、「環境資源の役割」を明らかにすることを目的としている。紛争後の「環境資源の役割」に焦点をあてた研究がこれまでほとんど存在しなかったが故に、平和の構築プロセスにおいて「環境資源」を戦略的に統合させることに失敗してきた。本研究により、紛争後の国々の平和構築プロセスにおいて、効果的な環境資源管理政策の統合を目指すことができるよう、実証と比較分析に基づいた知見を提示することを目標とし研究を進めている。 具体的な研究内容として、まず紛争後の環境資源管理のために市民社会の持つ役割について着目し分析した。環境管理に関連するアクターのバランスは、紛争後の政治的・社会的移行期に市民社会がより大きな役割を持ち、政府による管理と機能は限定的であることがわかった。紛争後の国家の統治能力が限られる状況においては、暫定統治機構の役割を持った国連や政府が実施してきた環境管理政策は、即効性を持たなかった。これは、政策を実行するためのキャパシティの不足、執行メカニズムの不整備、人材の不足等が要因として考えられた。その一方で、住民組織の役割はより重要となり、政府主導ではなく、住民組織が主導で慣習法に基づき環境資源の管理を始め、それを政府が認識し補い始めてきた。慣習法の担い手である住民組織が中心となり、慣習法を復興してゆく動きの中で市民社会が活性化するプロセスがあったことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画よりさらに進展させ分析を進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
筆者によるこれまでの研究による分析枠組みを基礎として、更に国別の比較分析を行い、環境資源が平和の定着にどのような役割を持ち、「どのような条件で有効に機能するか」、という「メカニズム」を過去の事例から検証する。
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