研究課題/領域番号 |
12J40261
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
鈴木 紀子 同志社大学, 文化情報学部, 特別研究員(RPD)
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キーワード | 共同作業 / 言語情報 / 非言語情報 / 参加人数の影響 / 役割構造 |
研究概要 |
平成24年度は、以前に収録した3名による構造物組立課題の共同作業×2グループ分のデータについて下記の分析を行った。 (1)相関分析による役割推定のための特徴量の抽出:共同作業過程の序盤・中盤・終盤での言語・非言語行動の分析結果と第三者評定の結果の相関を求めることで、各作業過程におけるリーダー・積極的なフォロワー・消極的なフォロワーの各役割を担う参加者の推定に有用な言語・非言語情報の特徴量の抽出を試みた。その結果、リーダーの役割推定には課題遂行に関する発話量や完成図までの距離等が、積極的なフォロワーの役割推定には作業状況に関する発話量や他の作業者への視線量等が、消極的なフォロワーの役割推定には完成図までの距離や他者との距離等がそれぞれ有用な特徴量であることがわかった。これらの結果について2件の国際会議で発表を行った。 (2)重回帰分析による役割推定モデルの算出:共同作業の役割に関する第三者評定の結果をもとに、作業参加者の言語・非言語行動の特徴量について重回帰分析を行った。その結果から、リーダー・積極的なフォロワー・消極的なフォロワーという3種類の役割ごとに、共同作業過程の序盤・中盤・終盤における役割推定モデルを導出した。いずれも調整済みの決定係数(Adjusted R^2)が0.4以上であったため、あてはまりのよいモデルであるといえる。リーダーの役割推定に関する回帰式の第1項・第2項には課題遂行に関する発話回数および全体の発話量が、積極的なフォロワーに関しては課題遂行に関する発話回数および他の作業参加者との距離が、消極的なフォロワーに関しては課題遂行に関する発話回数とお互いに顔を見合わせる頻度であった。この重回帰分析の結果とA)の相関分析の結果には差異があった。これらの結果および考察について国際会議で口頭発表を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
構造物組立課題を実施するためには、ある程度広いモーションキャプチャの撮影範囲を持つ実験室での収録が必要となる。しかし平成24年度は、新規データの収録を行うことができず、既存データの分析および新規データ収録のための予備的検討にとどまった。その理由としては、(1)実験データ収録のために借用予定の実験室に設置されているモーションキャプチャシステムが秋まで不調であったこと、(2)(1)のアクシデントにより、秋以降の実験室のスケジュールにそれほど空きが出なかったことの2点があげられる。春にこの実験室で予備実験を実施し、収録可能範囲の確認および被験者1名によるデータ収録をすることで、実験実施の可能性について検討を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
新規データを収録するためには、モーションキャプチャシステムを備えた実験室を借用することが必要である。平成24年度の反省もふまえ、今年度の研究方策としては、(1)モーションキャプチャの撮影範囲がある程度広い実験室を何回か借用して構造物組立課題のデータ収録を試みる、と同時に、(2)撮影範囲がそれほど広くない実験室でも収録可能な課題を考案し、その実験室を断続的に借用することでデータの収録を行なう、という並行的な実験計画の立案・実行を検討している。
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