研究課題
Atg1はオートファジー関連タンパク質の中で唯一のタンパク質キナーゼである。Atg1のキナーゼ活性はAtg13との結合によって制御されているという報告があるものの、その詳細な分子メカニズムは依然不明である。本研究は、Atg1とAtg13の複合体と、その複合体に結合することによってAtg1の活性化に寄与するAtg17-Atg29-Atg31の3者複合体、さらにはAtg1-Atg13-Atg17-Atg29-Atg31の5者複合体の立体構造解析を行うことによって、その相互作用様式を明らかにし、Atg1のキナーゼ活性の調節メカニズムを解明することを目的としている。昨年度に報告した通り、これまでにAtg1-Atg13複合体と、Atg13-Atg17-Atg29-Atg31の4者複合体について結晶構造を決定することに成功した。また立体構造をもとに行った生化学的解析などから、飢餓によるAtg13の脱リン酸化が、オートファゴソーム形成の足場であるPAS(pre-autophagosomal structure)の形成、さらにはオートファジーの始動を引き起こす分子機構の一端が明らかとなり、本年度論文として報告した。その発展として、脱リン酸化したAtg13がAtg17の二か所に結合することによって、Atg17同士が架橋され凝集するという現象を発見した。この発見は5者複合体の結晶化が本質的に困難であることを示唆しているが、PASの形成機構そのものを表している可能性があるため、本年度は予定を変更して高速原子間力顕微鏡を用いて複合体の形成過程の可視化に取り組んだ。その結果、個別のタンパク質の可視化に成功したので、今後は引き続きタンパク質を区別するタグの開発や、凝集するタンパク質を観察する手法の開発などを行いながら、5者複合体の凝集過程の観察を行う予定である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Nat. Struct. Mol. Biol.
巻: 21 ページ: 513-521
10.1038/nsmb.2822.