研究概要 |
世界的に見た投票行動研究分野のスタンダードは、(1)全国レベルのサンプリング面接調査を同一人物への追跡調査(パネル調査)という形で行ない、重要な国政選挙をカバーすること、また(2)調査データの英語版の公開と国際比較研究への開放を果たすこと,この2点にある。このスタンダードを満たしつつ、各研究者の学問的貢献を実現するため、本研究では、ランダムに抽出された全国3,000人の同一対象者に対し、5年間にわたり追跡面接調査を継続している。また、データの分析を継続し、内外での学会発表や論文発表も進行中である。 平成15年度調査では平成13年度参院選前後調査、14年度末統一地方選挙前調査を引き継いで、本プロジェクトにとって最大の課題である衆議院選挙調査を実施した。選挙前、選挙後の二度とも同一対象者に対する面接調査であった。2年前の参院選時からの変化を測定することを念頭に置いて多くの共通反復調査項目を設けた以外に、社会的参加、政治参加、政治的トレランス、政治動員に関わる新項目を測定した。また、短期的な効果要因を検討する時事的な調査項目も用意した。さらにインターネット関連の項目も採用し、急激に変化するメディア環境の効果をとらえられるように工夫した。 この前後調査は、平成13年度面接調査の回答者もしくは14年度郵送調査回答者であるパネルサンプル(=2,258人)、および補充サンプルとしての全国市町村の住民基本台帳もしくは選挙人名簿からランダムに抽出した742人を合わせた3,000人に対し実施された。事前調査は平成15年10月29日(水)〜11月8日(土)であり、事後調査は平成15年11月13日(木)〜11月24日(月)であった。回収率は事前調査72%(N=2160)、事後調査76%(N=2268)であった。
|