研究課題/領域番号 |
13002004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 智幸 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40092415)
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研究分担者 |
斎藤 直人 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90334226)
辻本 哲宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (40212055)
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キーワード | Ca電流 / シナプス増強 / NCS-1 / グルタミン酸 / レセプター飽和 / 微小シナプス電流 / 神経終末端 / シナプス小胞 |
研究概要 |
(1)脳幹聴覚中継シナプスthe calyx of HeldにおいてCa電流の活動依存性増強メカニズムを検討した。Ca結合タンパク質NCS-1は終末端に注入すると、活動依存性増強と類似のCa電流増強と、立ち上がり時間の短縮を惹起し、活動依存性増強を閉塞(occlude)した。また終末端に注入したNCS-1のC末端ペプチドは活動依存性Ca電流増強を完全にブロックした。活動電位によって神経終末端に流入したCaはNCS-1と結合してCaチャネルを活性化し、シナプス伝達効率を増強すると結論される(論文1)。 (2)単一シナプス小胞に含まれる伝達物質がレセプターを飽和するか否かは、伝達物質量のシナプス伝達効率への影響に関わる重要課題である。この問題を検討するためにcalyx of Held終末端に高濃度の伝達物質グルタミン酸を注入したところグルタミン酸は小胞に取り込まれ、微小シナプス電流の振幅を顕著に増大した。単一シナプス小胞伝達物質はレセプターを飽和しないと結論される。(論文2)。 (3)生後発達に伴う小胞内伝達物質量の増加がレセプターの飽和を惹起する可能性を検討した。生後7-29日のラットの生後発達を追跡したところ、生後2週から3週にかけて単一シナプス小胞内グルタミン酸量が増加して微小シナプス電流が増大することが明らかになった。生後4週のラットにおいて神経終末端に高濃度の伝達物質グルタミン酸を注入したところ微小シナプス電流の著しい増大が認められた。単一シナプス小胞から放出されるグルタミン酸は成熟動物においてもレセプターを飽和しないと結論される(論文3)。
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