研究課題/領域番号 |
13002008
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
田中 啓二 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 参事研究員 (10108871)
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研究分担者 |
八代田 英樹 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (20311425)
田中 良和 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (50291159)
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キーワード | プロテアソーム / 抗原プロセシング / PA28 / ユビキチンリガーゼ / SCF / NEDD8 / 品質管理 / ユビキチン様蛋白質 |
研究概要 |
本研究はユビキチン(タンパク質に分解シグナルを付与する翻訳後修飾分子)とプロテアソーム(真核生物のATP依存性プロテアーゼ)に関する包括的研究を行うものである。ユビキチンプロテアソームシステムによる選択的なタンパク質分解は、生物における「高次機能の制御」や「環境ストレスに応答した恒常性の維持」に必須な役割を果たしている。本年度のプロテアソーム研究における主な研究成果としては、γ型インターフェロンで誘導されるプロテアソーム活性化因子PA28(αとβのヘテロ多量体)をコードするαとβの遺伝子を同時に欠失させたダブルノックアウトマウスを作製して解析した結果、内在性抗原のプロセシング提示機構がPA28に依存する経路と依存しない経路に大別できることが世界ではじめて明らかになったことが挙げられる。一方のユビキチン研究では,細胞内タンパク質の代謝的安定性の鍵を握るユビキチン連結酵素(E3)を中心に多面的に解析した。中でも代表的なRING-finger型E3であるSCF(Skp1-Cul1-F-box protein-Roc1複合体)リガーゼ(細胞周期やシグナル伝達を調節するキー酵素)についてNEDD8(ユビキチンに類似したモディファイヤー分子)による活性化機構を解明すると共にNEDD8システムの発生工学的解析を行い高等動物(マウス)における生理的重要性を明らかにした。また、U-box(E3の触媒部位であるRING-fingerドメインと類似の構造)をもったCHIPが分子シャペロン(Hsc70やHsp90)と連携して変性(異常)タンパク質を選択的にユビキチン化することを見出し、"品質管理リガーゼ"という不良品の処理に携わるE3の概念を提唱した。これらの研究成果は、ユビキチンプロテアソームシステムが免疫病・癌・神経変性疾患などの様々な病気の原因解明と発症阻止に向けた新しい創薬研究の有力な手段となる可能性を示唆しており、人間の健康を守る新しい生命科学の発展に大きく寄与する研究成果と考えられる。
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