研究課題
我々はユビキチン(タンパク質に分解シグナルを付与する翻訳後修飾分子)とプロテアソーム(真核生物のATP依存性プロテアーゼ複合体)から構成されたエネルギー依存性のタンパク質分解システムが生命活動の制御に果たす多彩な役割について分子から個体レベルまで包括的に解明することを目指している。本年度のプロテアソーム研究においては、プロテアソームの分子集合を支援する特異的シャペロンとしてProteasome Assembling Chaperone1/2(PAC1/2)複合体を発見し、もう一つの会合促進因子Ump1の役割の解明も併せて進め、多段階逐次的会合機構モデルを提唱した。またプロテアソームの多様性の解析のテーマでは、PA200やRpn10をコードした遺伝子欠損マウスの作製に成功した。さらにプロテアソームの触媒機能を抑制したモデル動物を作製し、カスパーゼ様・トリプシン様・キモトリプシン様の3つの活性の生物学的役割を個体レベルで解析する研究テーマも進めた。ユビキチン研究においては、ユビキチンを標的タンパク質に連結させるユビキチンリガーゼ(E3)の機能解明とユビキチンに類似した蛋白質モディファイヤーシステム(Nedd8/Rub1,Ufm1,Atg8・12等)について精力的に研究した。前者はタンパク質の寿命を決定する酵素として、また後者は標的分子の機能変換や遺伝情報を増幅するシステムとして重要である。我々はとくにタンパク質の品質管理に係わるE3に注目し、分子シャペロン依存性のCHIP、常染色体劣性若年性パーキンソン病(AR-JP)の原因遺伝子産物Parkin、そして小胞体関連分解(ERAD)に作用するSCF^<Fbs>等に焦点を当てた研究を展開した。これらの研究は、難治性神経変性疾患の原因解明に連なることが期待されており、21世紀の高齢化社会における波及効果が高い研究と位置づけられる。
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