研究課題/領域番号 |
13018208
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
末木 文美士 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90114511)
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研究分担者 |
杉本 一樹 宮内庁正倉院事務所, 保存課, 調査室長
月本 雅幸 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (60143137)
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キーワード | 正倉院 / 聖護蔵 / 写経 / 訓点 / 一切経 / 天平写経 |
研究概要 |
本年度は、主としてCD-Rによって聖語蔵隋・唐経そのものの研究を行なった。本年は第1期として平成12年に刊行された隋・唐経38点243巻と平成14年1月に第2期として刊行された5月1日経の一部を中心に研究を進めた。研究に当たっては、研究代表者の末木が仏教学的見地から、研究分担者の月本が国語学的見地から、杉本が歴史学的見地から研究を進めた。 末木は、聖語蔵経典を大正新脩大蔵経はじめ、さまざまな大蔵経と比較して、その特徴を解明しようとした。その結果、聖語蔵本は大正蔵の校勘に使用されているが、今回対照させてみると、大正蔵の校勘が必ずしも正確でないことが分った。また、さまざまなテキストと比較して見ると、敦煌本との類似が多く、経典が初期の写本で伝えられた時代の共通性を保持していることが知られた。即ち、写本時代の大蔵経と後に刊本となった時代とは大きな断層があると考えられる。 月本は、聖語蔵本の訓点について研究を進めた。聖語蔵本に白・墨・朱などで加点されたものは、古い時代の国語資料としてきわめて貴重である。その中にはすでに指摘されたものもあるが、今回の調査ではじめて解明されたものも少なくない。特に白点は薄くなっていて見落としやすいので、慎重に調査を進める必要があることが分かった。 杉本は、聖語蔵本の整理を直接担当しながら、研究を進めた。その中でも、特に経巻の巻立てが必ずしも現行本と一致しないところから、巻立てを確認することの重要性が分かった。例えば、『四分律』は2種類あるが、その巻立てがずれており、異なる性質のものが混じっていることが分かった。
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