1年間の本研究課題は、文学の授業のためのデジタル教材をつくることだった。英文学の授業を行うさい、映画というメディアを導入して、とかく敬遠されがちな文学を学生に身近なものにしようという狙いである。 文学+映画の視点にたった授業に関して、これまで学生が予習したり復習したりするための適切な教材は、皆無だった。もっとも、教育目的として、映画ビデオを学生たちに貸し出すことは可能である。しかし、映画を見流すだけでは、何に着眼して、どこから何を読みとればいいのかは、さっぱりわからないままだろう。そこで、本研究が目指したことは、英文学作品と映画作品をリンクさせたデジタル教材をつくって、学生が自分で予習や復習ができるようにするだけでなく、もっと低次の現実的な次元で、学生たちが文学作品やそれを映画化したビデオを探して、図書館や書店やレンタルビデオ屋を右往左往することをなくす、ということだった。 作成した電子的教材の概要は、以下のとおりである。 1.文学の主要なテーマ(キーワード)の選定とその解説文の作成 2.テーマ(キーワード)を表象する文学作品の相当箇所を引用し、キーワードにリンク 3.文学に基づいた映画作品から、テーマ(キーワード)を表象する部分を抜粋し、文学作品にリンク このように映画というメディアの媒介によって、なかなか理解できなかった文学テーマが、まるで痒いところに手が届くといってもいいほどに理解や学習が可能となったのである。今後の課題は、文学と映画がリンクされたデジタル教材をじっさいの授業で用いて、その効果を確認することである。著作権の問題から、学生たちにはCD-ROMとして提供する予定である。
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