研究課題/領域番号 |
13020236
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
河野 俊行 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (80186626)
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研究分担者 |
河内 宏 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (40037073)
角松 生史 九州大学, 大学院・法学研究院, 助教授 (90242049)
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キーワード | バーチャルゼミ / インターネット / システムソフト / EDU-Project / 事例解析 / 法学教育 |
研究概要 |
本研究では、株式会社システムソフトのソフトウェアEDU-Projectの機能を利用しながら、6回の「バーチャルゼミナール」を試行した。この場合の1回のゼミは最低4度のセッションからなっており、1セッションには1週間の時間の余裕をみたため、結局1回のゼミは1ヶ月、6回行うには夏休みをはさむと8ヶ月かかったことになる。 各回のゼミナールの最初には、事例問題を学生全員が見られる形でアップロードした。参加者はその問題に含まれている論点を抽出してアップロードする。教師側がこれに対してコメントあるいはサジェスチョンを出す。そこで再度参加学生は論点を見直して修正版をアップロードする。次いで教師の指示に従い、参加者の一人が回答例をファイルの形でアップロードする。それに対してコメンテーター役の学生が回答にコメントする。そのコメントを受けて第二回答者が自分の見解をアップロードする。この時点で参加者全員がコメントを求められ、アップロードする。それを受けて第一回答者が最終回答をまとめる。この段階で教師がコメントを出してその回のゼミナールを締めくくる。こういう形で6回のゼミナールを持ったわけである。工夫した点としては、事例問題を当初は簡単に、だんだん難しくした点、さらにはすぐに解答を与えるのではなくコメントによって自分に考えさせるようにした点である。 6回終了後参加者のアンケートをとったところ、肯定的回答40%、否定的回答40%、無回答20%といった傾向を示した。肯定的回答としては「手法が斬新」「自宅で学習できる」が最も多く、他方否定的回答には「実際のゼミですればいいことをなぜこういうことをする必要があるのか」「PC立ち上げるのが面倒」といったものがあった。 今回の最大の問題は、科研の決定時期との関係で、これ専用のゼミナールをあらかじめ募集しておくわけに行かず、既存のゼミナールを本研究用にも併用したわけであるが、その結果参加者の中に、インターネットに対する親近度に大きな差がみられた。それはおのずとバーチャルゼミに対する主体的参加態度にも影響した。法学部におけるゼミは、唯一の少人数教育の実現の場として学生は教師とのナマのコンタクトを求めて集まってくる。それをバーチャルで転用しても、学生の意識がまだそれに追いついていない、という感を強くした。
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