まずは知識形成や運用、教え-学びについてのさまざまな考え方から、代表的な6つの対立する考え方(「哲学」)を決定した。次にその対立哲学項目を含む調査票をまず英語で作成し、ドイツ語、韓国語のネイティブ・スピーカーを介してそれぞれの言語に翻訳し、日本語を含む4カ国語の調査票を作成した。それを、各国の現場の教師に配布・回収した。 主要な結果はまず、知識獲得時に具体的教材を使うか抽象的教材を使うか、についてはどの国でも圧倒的に具体的教材がいい、としていた。同様に、知識を現実場面で有効に使うためには、教室での教授活動で現実事例を用いるべきである、とする意見も4カ国ほぼ共通であった。さらに、もっともよく学習ができるのは、協同した状況であることについても国によるちがいはなかった。学習の転移の可能性については、アメリカと韓国でそれを認める傾向にあり、獲得した知識の想起については、ドイツで圧倒的に「知識は特定のものとして想起される」という意見が多い。また、学びが主体的に行われるのがいい、とするのは日本の教師がもっとも多かった。 「哲学」とコンピュータの利用の関係では、特にアメリカにおいて、生徒の受容的態度重視の教師は「使わない」のが40%を超え、逆に、主体的学び重視の教師は「いつも使う」又は「よく使う」が40%であった。また、コンピュータを使う理由については、アメリカや韓国では「校務の時間を節約することができる」といった、CMI的な使い方をその理由にあげているのが多いが、日本では、「自分で学ぶことができる」といった、自主的学びの契機として捉えていることが分かった。さらに、日本の教師がもっとも多く、「自由にいろんなレベルのイメージや表現を行ったり来たりできる」から、という理由をあげていた。
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