本研究は、特定領域研究(A)「東アジア出版文化の研究」の特に起源に関して全面的な関わりを持つものであり、また出版機構の解明にも大きく資するものである。その点を明確にする意図で平成13年度第一回研究集会に於て「東アジアの印刷史から見た日本印刷文化の起源」を発表し、共同研究に対する位置付けを行った。 世界の印刷文化が東アジアに於て始まったことは周知の事実であるが、起源については必ずしも定説を見ていない。中国・朝鮮半島の初期印刷資料については、原本資料の調査が不十分であるので、何よりも原本調査を優先して実施した。高山寺・東洋文庫等の国内資料、韓国誠庵古書博物館、同湖巖美術館、同延世大学校図書館、大英図書館、フランス国立図書館、台湾故宮博物院、台湾国立中央図書館等の外国資料の調査を行い、特に朝鮮半島の初期印刷資料について大きな成果が得られた。それらの一端を平成14年10月に札幌に於て実施した国際ワークショップ「典籍の国際的交流・受容(訓読)」に取り込み、成果を同名の論文集として公刊し、内外の研究者に配布した。また平成15年3月にこれまでの研究成果の中間報告として「東アジアの印刷史から見た日本印刷文化の起源」を公刊して内外の研究者に配布した。
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