本年度はまず、前年度に引き続き以下の族譜の分析を行った。 海豊県南山羅氏族譜、馬氏伯霄祖史記(海豊県城馬氏)、海南省臨高県王氏宗譜 また、これらの族譜の記載内容の検証を、各地の地方志資料をもとに展開した。 さらに、平成14年11月に広東省南雄市珠〓巷において、各同姓団体による宗祠建設事業について調査して収集した資料をもとに、現代の宗族復興活動に関する考察を行った。 これらの研究成果の一部は、以下に示す論文、著書によって公開予定である。 このほか特記すべきこととして、平成15年11月に訪問した海南省〓州市において、現地の手書き族譜をみる機会を得た。同地域の族譜は、中国の他地域のものとは形態が異なり、畳数畳文もの広さのある大きな1枚の紙に、始祖からの系譜を書き記してゆくタイプのものであり、数十年に1度行われる「開譜」という儀式以外には、みだりに開いてはならないとされている。しかし、今回は同市北部の三都鎮地区の顔塘下村という集落の羊氏一族のもとで、特別に族譜を閲覧する機会を得た。このタイプの族譜は多部数が一度に作られ族員によって共有される印刷本の族譜とは対極的な性格を示す族譜であり、印刷本と手書き本の族譜の機能を比較する上では重要な資料である。
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