本研究は、東洋学およびモンゴル学の分野で輝かしい研究の伝統を有する旧ソ連およびロシアで出版されたモンゴル研究、特に言語研究に関する書目を調査し、その目録を作成し、印刷物および電子化媒体の形で公開することを目的としている。この場合の「モンゴル」はモンゴル国のモンゴル語だけでなく、ロシア共和国内のブリヤート語、カルムイク語、中国内のダグル語、ドゥンシャン語、バオアン語、モングォル語、シラ・ユグル語、アフガニスタンのモゴール語等、すべてのモンゴル系の言語・方言が含まれる。 平成13〜14年度においては、主に1990年代以降にロシア国内で出版されたモンゴル語関係の図書・論文を収集整理するとともに、ロシアの研究機関、研究者とコンタクトを取り、情報を収集した。特にブリヤートやカルムイクにおける地方出版物の調査に力を注いだ。研究分担者の寺山は歴史学関連の出版情報を調査した。平成15〜16年度には、調査の時代を20世紀後半(第2次世界大戦以降)に広げ、モスクワおよびノボシビルスクで資料収集および文献調査を行った。 また、ブリヤートとカルムイクの研究者とは、電子メールおよび郵便によって連絡を取り合い、それぞれの地域で出版されたモンゴル学関係の文献に関する情報を収集し、目録として整理した。それらの文献に関しては日本の大学図書館や専門図書館に保管されているかどうかに関して調査を行ない、可能な限り実物を確認する作業を行った。 20世紀後半のソ連時代のモンゴル語研究の特色としては、モンゴル語をチュルク語や満洲・ツングース語と比較して系統を探るアルタイ言語学が盛んに行われていたことが特徴である。 調査によって得られた書誌学的情報は年代別、地域別に分類してデータベース化して公開する準備を整えた。
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