本研究は中国医史文献研究所(北京)の鄭金生教授、および北京中医薬大学の梁永宣副教授を海外共同研究者として実施している。今年度、真柳は日本・台湾・ベトナム所蔵漢籍医薬書諸版の調査を実施し、全情報の集計・分析・報文作成を担当した。また中国大陸所蔵漢籍医薬書諸版の調査・集計は鄭が薬書、梁が医書を担当した。 以上について各所蔵機関の蔵書目録より漢籍医薬書を抽出、版本書誌等の嫌疑点は実地調査で解決した。このため真柳は国内3回、台湾(20O1年7月22目-9月22目)・ベトナム(2001年9月3日-同17日に台湾から往復)各1回の調査研究旅行、梁は日本に1回(2002年1月21目-同年2月21日)の研究打ち合わせ旅行を実施した。調査した漢籍医薬書の書誌データは、分野ごとに各国版(写本)の刊年(写年)・刊行回数、および底本の成年・刊年(写年)・伝来年を集計している。 真柳は現在まで、台湾地域の主要な蔵書機関である故宮傅物院図書文献館・国家図書館・中央研究院博斯年図書館について、善本および日本関連書の調査とデータ整理をほぼ完了した。整理した個々の書誌データは月刊学術誌に「台湾訪書志」として本年1月より連載を開始しており、完結に3年ほどを要する。個別に得た研究成果も多数にのぼるが、次年度以降の調査研究と統合して報文を作成する。 ベトナムでは漢喃研究院所蔵の漢籍医薬書全点と漢喃医薬書の一部を調査し、その全データ整理を完了した。しかし他の所蔵機関も含めて閲覧調査には困難が多く、ベトナム所蔵医薬書の全面的調査にはまだ相当の期間を待たねばならないと思われた。
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