本年度は、研究開始初年度に当たるため、まず基礎的書誌情報の収集に力を注いだ。まず6月に台湾(国立故宮博物院、中央研究院歴史語言研究所)、8〜9月にモンゴル(国立図書館、国立歴史中央文書館、科学アカデミー歴史研究所)と中国(北京図書館、中央民族大学、内モンゴル図書館、内モンゴル社会科学院)を訪問し、資料を調査収集するとともに、関連する研究者との意見交換をおこなった。とくにモンゴルにおいては、19〜20世紀初頭に出版された文献に関する書誌資料(現在の科学アカデミーの前身である典籍委員会による、目録などの調査資料、モンゴル文語による)をマイクロフィルムに撮影することに成功し、帰国後電子化した。この資料を入手できたことにより、ほぼモンゴル地域のなかでも、ハルハ・モンゴル(外モンゴル)における、19〜20世紀初頭の出版物の概要とデーターを把握することが可能となった。ただし、内モンゴルおよび北京などの地域でモンゴル語により出版された資料については、現地で伝存する資料が甚だ不備で、また関心をもつ研究者も少ないために、今後かなりの調査が必要であることも判明した。ロシア地域(この分野の資料を豊富に保管するサンクト・ペテルブルグの科学アカデミー東洋学研究所)およびドイツでの調査は、本年度3月に別途経費によっておこなう予定である。なお本特定領域研究の研究集会とは別に、担当者が東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所で主宰している共同研究プロジェクト「東アジアの社会変容と国際環境」の活動の一環として、2001年12月7日に研究セミナー「東北ユーラシア地域史研究のフロンティア」を開催し、主として中堅・若手研究者を中心に、このような出版文献資料を歴史研究のために、どのように活用すべきか、また文書資料とどのように連動させるか、研究発表と意見・情報交換をおこなった。
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