研究概要 |
2003年9月20日,大阪市立大学において,私と鈴木信昭氏が主宰して「日用類書『万宝全書』を巡る諸問題」というテーマのもとに研究会を開催した。『万宝全書』という単一テーマでの研究会は、おそらく世界でも初めてであろう。以下にその公開研究会の研究を再録しておくが、発表(2)の発表者・呉 惠芳女史は台湾から招請した,『万宝全書』の第1人者である。 発表 (1)明代の『万宝全書』と風水思想 宮崎順子(大阪市立大学非常勤講師) (2)『万宝全書』に現われた清末・民国初の社会変化 呉 惠芳(国立台湾海洋大学共同科助教授) (3)沖縄に伝来した『万宝全書』 三浦國雄(大阪市立大学文学研究科教授) (4)『事林広記』と『万宝全書』 金 文京(京都大学人文科学研究所教授) (5)日用類書の編纂方法-『五車万宝全書』を中心に 小川陽一(大東文化大学文学部教授) なお、三浦の発表は増補して『文藝論叢』第62号(2004年3月刊)に同じタイトルで発表された。 また、上記の研究発表とは別に、「通書『玉匣記』の沖縄流伝」と題した論文を執筆した(当科研論文集第2号『東アジア出版文化研究』に掲載予定)。本論文は、『玉匣記』の成立が,現存の資料に徴する限り,明代15世紀半ば以前には遡り得ないことを述べ、筆者が実際に目にした9種の沖縄本が全て同版であることを実証している。
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