2001年は、大英図書館において、本研究の主対象であるカラホト・エチンゴル出土チベット語文書と関連文献であるチベット語木簡(基盤研究の主対象)の調査研究をおこなった。その研究成果は、つぎのようにまとめられる。 1.カラホト・エチンゴル出土チベット語文書の調査研究 チベット文献史における写本・木簡から版本への推移過程の研究にとって最も重要なこの文献群については、大英図書館での調査によって、全文書の文書番号・site numberという基本情報を入力し、データベース化への基礎作業を行った。作成したデータベースにもとづき、大英図書館では修復作業を進めている。 2.中央アジア出土チベット語木簡の調査研究 昨年から今年度にいたる調査によって、チベット語木簡の特徴・使用方法・使用環境・社会言語学的背景などが明らかになってきた。木簡自体は、別科研の対象であるが、その研究成果は本科研とも有機的に結びつき、本科研への重要な貢献となる。 3.大英図書館所蔵の彜語文献の調査研究 研究協力者岩佐氏により、未調査だった彜語文献の調査と整理が行われ、データベース化の基礎作業が完了した。今後、更に調査を進めると同時に、パリ、ベトナムなどの彜語文献の調査も遂行することによって、彜語文献の全体像がはじめて明らかになることが期待される。
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