2003年度は、武内と協力者井内が、大英図書館において調査研究をおこなった。また武内は10世紀のチベット仏典の年代についての研究をまとめオックスフォードにおける国際チベット学会において発表した。研究成果の概略を以下に記す。 1.カラホト・エチンゴル出土チベット語文書の調査研究 チベット文献史における写本・木簡から版本への推移過程の研究にとって最も重要なこの文献群について、大英図書館での調査を継続しておこなった。今年度は、相当数の仏典の同定に成功し、年代も確定できた。その結果、カラホトとエチンゴルの文書が年代的に異なること、エチンゴルの文書は19世紀のものがあることも判明した。 2.チベット木版印刷の現状の調査研究 研究協力者池田巧氏によりデルゲ印経院における木版印刷の歴史と現状についての調査にもとづく論考がまとめられ出版された(研究発表の欄参照)。 3.彜語文献の調査研究 研究協力者岩佐氏により、大英図書館とフランス国立図書館所蔵の彜語文献の調査と整理が行われ、国際チベット学会においてその成果が発表された。
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