本研究は2001年8月31日〜9月17日、2002年3月12日〜3月29日、2002年8月26日〜9月13日、2003年2月21日〜3月7日の計4回にわたって中国北京、上海で『二十五史』校点関係者のヒアリング調査と関係資料の収集を実施した。これにより、以下の成果を得た。 1、関係者啓功、陰法魯、姚景安、崔文印、何英芳などのヒアリング調査により、『二十五史』校点の全過程をほぼ把握した。 2、中華書局、北京図書館などで関係資料の収集を実施した。多くの関係資料を入手。例えば、1971年4月〜5月にかけて、毛沢東、周恩来、姚文元、張春橋などの中央指導者が『二十五史』校点出版事業の再開を巡っての指示、手紙、内部文件などの一次資料を入手した。これらの資料により、『二十五史』整理事業の主導権をめぐる周恩来と姚文元の確執があきらかになった。 3、顧頡剛の「整理国史計画書」(1971年4月29日、中央弁公庁が主催した『二十五史』整理座談会の討論稿として提出されたもの)と包遵信の「顧頡剛先生と『二十四史』校点事業」の原稿を入手した。これらの重要文献はいずれも未公刊のものであり、現在、島根県立大学非常動講師の邱燕凌に翻訳を委託しており、終了次第順次公開する予定である。 4、『史通通釈』の校点者王煦華の資料提供により、毛沢東に献上した「幻の大字本」(毛沢東のために古籍の体裁をとり、大型活字で印刷された特製本)の正体を解明した。
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