研究課題/領域番号 |
13021238
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
関場 武 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (20051691)
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研究分担者 |
佐々木 孝浩 慶應義塾大学, 付属研究所斯道文庫, 専任講師 (20225874)
高橋 智 慶應義塾大学, 付属研究所斯道文庫, 助教授 (80216720)
川上 新一郎 慶應義塾大学, 付属研究所斯道文庫, 教授 (50169679)
住吉 朋彦 慶應義塾大学, 付属研究所斯道文庫, 助手 (80327668)
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キーワード | 書誌 / 辞書 / 類書 / 節用集 / 歌枕書 / 類題和歌集 / 韻書 / 解題目録 |
研究概要 |
本研究では、中近世期の東アジアに広く行われた辞書および類書につき、その社会的影響の基盤となった出版情況に関する書誌調査並びに文献研究を行った。各員の研究項目と成果は以下の通り。 1.和書班では(1)関場が、慶應義塾図書館蔵書を主に近世期の通俗辞書・百科事典類の調査を行い、特に「玉篇」「和玉篇」「節用集」類諸本の研究を行って、出版経過の詳細を明らかにした。平成13年度に、その中間段階の成果によって図書展示会「辞書の世界-江戸・明治期版本を中心に」展(慶應義塾図書館主催)を企画実行したが、本年度はその補足調査を行い完備を図った。(2)川上は、出版に附された近世期歌枕書類の調査研究を行い、辞書的構造を持つ歌枕書とその他の文献との関係を整理し、解題書目「近世版行歌枕書一覧(稿)」を編集した。(3)佐々木は、近世期の類題和歌集、特に『新類題和歌集』の調査研究を行って、歌学書をめぐる商業出版と社会的需要の関係を考察し、論文「写本と版本の間-『新類題和歌集』三十冊本をめぐって-」を執筆した。 2.漢籍班では(1)高橋が、慶應義塾大学言語文化研究所所蔵・中国語言学関係蔵書・永島文庫の調査研究を行い、また蔵書研究の立場から関連する蔵書の調査を行って、蔵書解説・書目「慶応義塾大学言語文化研究所所蔵永島栄一郎氏旧蔵中国語言学(小学)資料について」および「中国の字書・韻書等についての版本研究-慶応義塾大学所蔵永島文庫・台湾師範大学所蔵趙蔭棠旧蔵書を中心とする版本調査報告(第一次所在報告)-」を執筆編集した。(2)住吉は、中国・朝鮮・日本で広く受容された類書『韻府群玉』諸本の改編・版刻の経過について調査研究を行い、論文「『韻府群玉』版本考(二)」「同(三)」および「韻府羣玉版刻書目長編」「王元貞校刻本新増説文韻府羣玉修刻書影」を執筆編集した。 以上の研究は、個別の文献研究から蔵書研究に至るまで、対象文献群設定の多様化を図ったもので、文献研究の形式的可能性の拡大に努め、またディジタル情報処理機器を用いた書誌解題と画像の関連付けの上に製作された。これらの成果を踏まえ統合する立場から、関場が、辞書・類書の編集と出版の関係について考察し、論文「辞書と版本」を執筆した。
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