「日用類書の編纂方法」:明末の日用類書はどのようにして編纂されたか。類書とはそのれぞれの編纂目的に基づいて、必要事項を、既存の書物から、採集・分類・配列したものである。だから内容的には寄せ集めで、個々の事項自体は、全て非創作である。だが、その「非創作」は、先行する既存の類書・日用類書からの収集・分類・配列を意味するものではない。それぞれの類書には採集・分類・配列という編纂作業の際に、目的や方法において、それぞれの創作性・独自性がなければならない。既存の別の日用類書からの単なる採集・分類配列だけでは、その出版は、剽窃・盗作に堕してしまう。その点明末の日用類書はどうであったか。 明末の日用類書は、類書という基本性格からして、先行する類書・日用類書との収載内容や構成・体裁で同一性・共通性を志向しながら、同時に収載内容の新しさや独自性を目指したものがある一方で、他の日用類書の中から、巻首の標題だけ変えて、あるいは巻首の標題も変えないでそのまま寄せ集めて、編纂したものがあった。『三台万用正宗』や『文林聚宝万巻星羅』は前者の好例であり、『龍頭一覧』『五車万宝全書』は後者の好例である。
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