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2004 年度 実績報告書

日本における『四書集注』の周辺

研究課題

研究課題/領域番号 13021241
研究機関東洋大学

研究代表者

吉田 公平  東洋大学, 文学部, 教授 (70036979)

キーワード朱子学 / 四書集注 / 和刻本 / 藩版 / 性善説 / 自力主義 / 修己・治人 / 読者の誕生
研究概要

東アジア漢字文化圏の中で歴史時代に入った日本はその当初から中国の漢民族の哲学資源を有効に利用して先進文化を吸収した。それが顕著に見られるのが中国の宋代に興隆した宋学、その中核である朱子学の受容である。本格的に吸収したのは江戸時代以降である。その時に基本教典が『四書集注』である。中国から直接に渡来し、或いは朝鮮半島を渡ってきた所謂漢籍をテキストの学習したが、高価であること、数量に限りがあったことなどのために和刻本が読者の需要を満たすことになる。前半期は上方が出版の主役を担い、後半になると江戸、及び各藩の藩校が数多の版を刊行した。商業ベースで刊行されたものは出版点数が多いので所在確認は用意であるが厖大な数量なので悉皆調査は無理であり、その意義はない。藩校版は流通範囲が限定され刊行部数も少量なので所在確認は困難である。しかし、辺境の小藩でも刊行しているので文字通り全国的に読まれていたことが確認できる。漢学の初等教科書として最も普及した典籍であった。その余勢は活字印刷の時代になった明治時代以降も続いている。何故にこれほどまでに印刷され読まれたのか。文教政策という視点だけではなく、『四書集注』そのものの内容を解析することにより.『四書集注』出版を促したものを明らかにした。ロングセラーを可能にした根本的要因は『四書集注』の世界が、性善説を人間観の基本にした自力主義、自力救済論自己実現論であること、それを軸にした、人と共に幸福にくらせる社会を建設することに目指した社会哲学であったことが、読者を獲得したのである。江戸時代は戦乱の時代が終わり明日をいかに生きるかを問いだした。そのために朱子学が着目されたのである。武官でありながら文官を兼ねた武士階層ばかりではなく、新しい読者層となった庶民階層も応分の社会的責任を担いながら人間らしく生きることを求めたときに、『四書集注』が熱読されたことを明らかにした。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] 東敬治『陽明学』に於ける春日潜庵2004

    • 著者名/発表者名
      吉田公平
    • 雑誌名

      東洋古典学研究 18号

      ページ: 157-168

  • [雑誌論文] 東正堂年譜初稿2004

    • 著者名/発表者名
      吉田公平
    • 雑誌名

      白山中国学 11号

      ページ: 51-126

  • [雑誌論文] 春日潜庵の晩年-村上作夫『東遊日記』の世界-2004

    • 著者名/発表者名
      吉田公平
    • 雑誌名

      東洋大学アジア文化研究所研究年報 39号

      ページ: 7-16

  • [雑誌論文] 春日潜庵叢書のことなど2004

    • 著者名/発表者名
      吉田公平
    • 雑誌名

      東洋大学東洋学研究 42号

      ページ: 57-68

  • [雑誌論文] 二松学舎の陽明学-山田方谷, 三島中洲, 三島雷堂, 山田準-2004

    • 著者名/発表者名
      吉田公平
    • 雑誌名

      陽明学 17号

      ページ: 1-18

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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