1 印譜関係 14年度以降、国立東京博物館所蔵の横田実旧蔵「漠南書庫」収蔵の印譜約630点の調査を実施し、分類目録稿本を完成した。本来の目的である「日本現存中国印譜資料」作成との関係から、一部については解題も作成したが、全書の解題作成は今後の作業としたい。また「日本現存中国印譜資料」作成の一環として、13年度を中心として東京近郊の諸機関所蔵印譜の調査を実施し、それに加えて京都大学人文科学研究所所蔵印譜・大谷大学所蔵印譜・名古屋市蓬左文庫所蔵印譜の調査を終了し、それらを既成の「日本現存中国印譜資料」に編入した。なおこの調査においては、さらに16年度中に新潟大学付属図書館所蔵印譜の調査を計画している。一方、以前から計画中であった、古河筆刻美術館所蔵の松丸東魚旧蔵印譜の解題をおおむね完成し、これらの全面入力と目録編纂、および邦人印譜に関する索引の作成を終了した。また本解題の分類については、平成14年度発表の中国印譜分類試案を改良して応用した。なお当該印譜解題については近い将来の出版を目指している。また印譜の書誌学的研究の一環として、明代篆刻印譜の嚆矢である『蘇氏印略』の版本についての系統の把握や、各種の目録の誤記について具体的に論述(平成16年「東アジア出版文化の研究にわたずみ」)した。 2 未整理文献調査関係 13年度完成の諌早文庫漢籍目録に続いて、その後目録を完成した文庫は、大分県佐伯市教育委員会所蔵の佐伯藩政資料中の一般漢籍と、佐賀県多久歴史民俗資料館所蔵草場家旧蔵漢籍および光円寺寄贈本漢籍である。なお文献調査関係においては、年度中に佐賀女子短期大学所蔵の小田文庫中の漢籍について調査を実施し、目録を編纂する予定である。また関連研究として、分類の曖昧であった準漢籍についての整理上の指針について、共著「漢籍目録編纂における準漢籍の扱いについて」16年汲古46号を発表した。
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