研究概要 |
この研究は、標記研究課題のもと、日本の中国・「満蒙」への侵略過程における学問研究のありかたについて、出版物を多角的に検討することによって窺おうとするものである。 平成13年度には、その成果の一部として医科の2点を発表した。 (1)日本の傀儡政権「蒙古連合自治政府」に係わる国策団体である善隣協会の刊行していた『善隣協会調査月報』(のち『蒙古』と改題)に掲載された時局短信「蒙古雑報」(「雑報」その他の標題も見られる)の内容総目次を作成した。同欄にとりあげられるトピックの変遷を見ることによって、日本の「蒙彊」への介入がどのように構想され、実施されて行ったか、またそれをどのように宣伝しようとしていたのかなどが浮彫りになるものと考える。また同欄には多種のソースからは捕捉しえない該地の世相俗情に関する興味深いトピックも多く収められている。この成果報告書には、1980年に発表した雑誌『辺彊支那』の総目次の補訂版も併載した。大きな遺漏があったためだが、また、同誌にも「辺彊ニュース」と題する時局短信が毎号掲載されているので、上記目的にも添うと考えたからである。 (2)本研究課題のケーススタディーとして『元朝秘史』の書誌学的研究を行っているが、その一環として「『成吉思汗実録』雑記」を発表した(『桃山学院大学総合研究所紀要』27-3,2002年3月)。那珂通世の最初の学問的訳注とも称すべき業績にかかわる研究である。
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