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2001 年度 実績報告書

気体分子の吸脱着にシンクロナイズして高速変形する高分子材料の開発

研究課題

研究課題/領域番号 13022227
研究種目

特定領域研究(A)

研究機関山梨大学

研究代表者

奥崎 秀典  山梨大学, 工学部, 助手 (60273033)

キーワードポリピロールフィルム / 導電性高分子 / アクチュエータ / 人工筋肉 / 湿度 / 空中作動型 / 吸脱着 / 高速変形
研究概要

モノマーとしてピロール,ドーパントとしてテトラフルオロホウ酸を用い,電解重合によりフィルムを作製した。フィルムの延伸は,ゾーンヒーターをクロスヘッドに取り付けた引張試験機を用いて行った。100-250℃のヒーター温度でゾーン延伸を行ったところ,フィルムの延伸において印加張力(σ)にしきい値が存在し,それ以上で延伸倍率は張力に比例して増加した。これはポリピロール鎖の剛直性と高いガラス転移温度によるものと考えられる。延伸温度(Td)の上昇とともにしきい値は低下し,Td=150℃および200℃で約1.4倍まで延伸可能であった。延伸方向における電導度は延伸倍率とともにほぼ直線的に増加し,Td=150℃,σ=40MPaでゾーン延伸したフィルム(延伸倍率1.4)で最高327S/cmに達し,未延伸フィルム(145S/cm)に比べ2倍以上であった。また,ヤング率および切断強度も3.7GPa,149MPaに増加した。これらの結果は,ゾーン延伸によるポリピロール鎖の分子配向に起因すると考えられる。フィルム(長さ35mm,幅1mm)の変形挙動はレーザー変位計および画像センサを用いて測定した。相対湿度の上昇とともに未延伸フィルムは等方的に膨張した。次に,相対湿度50%の条件下でポテンショスタットより3Vの直流電圧を印加したところ,フィルムは電場方向に1.3%収縮しこれが可逆的に起こることがわかった。電流値は27mAであり,フィルム表面温度は8℃上昇した。フィルム近傍の相対湿度は電圧印加により急激に増加し,また電圧を切ると低下することから,フィルムがあたかも呼吸をするかのように電圧のオン・オフに応答して水蒸気を吸脱着しながら伸縮することがわかった。ここで,電場に垂直方向におけるフィルムの収縮率が3.1%(水平方向の2倍以上)に達することから,ポリピロール未延伸フィルムは等方的な構造であるにもかかわらず異方的な電気収縮挙動を不すことが明らかになった。詳細なメカニズムについては検討中であるが,フィルムの電気収縮が単なるジュール加熱による等方的な脱水では説明できないことを意味している。一方,ゾーン延伸フィルム(Td=150℃,σ=40MPa,延伸倍率1.4)の延伸方向に3Vの直流電圧を印加したところ,未延伸フィルムに比べ高い電流値を示したが電場方向にはほとんど収縮せず,垂直方向に約1.5%収縮した。これは,ポリピロール鎖の配向によるフィルムの構造異方性を反映していると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] H.Okuzaki, I.Kubota: "Zone-Drawn Poly(p-phenylene) Films. Effects of Molecular Orientation on Electrical and Mechanical Properties"Macromolecular Rapid Communications. 22. 114-119 (2001)

  • [文献書誌] A.G.MacDiarmid et al.: "Electrically-Generated Nanofibers of Electronic Polymers"Synthetic Metals. 119. 27-30 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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