研究概要 |
本研究では、生体システムにおける分子シンクロナイゼーションのモデル系として,情報の入力を「分子認識」とし,生体反応としての出力を「選択的な物質の輸送」を考え,このシンクロナイゼーションを外部から制御するためのインターフェースを備えたポリマー材料をモレキュラーインプリンティング法により創製することを目的として研究を行った。以下に本年度の成果を記す。 (1)重合可能なビニル基と,水素結合可能なカルボキシル基を併せもつベンゾスピロピラン誘導体モノマーを合成法を検討し、効率よくこの機能性モノマーを合成する手法を確立した。 (2)超高圧水銀ランプ光源を用いて,ベンゾスピロピランの光応答性の評価を行い、報告されている結果とよく一致する結果を得た。従って、装置の健全性が確認できた。 (3)鋳型分子とベンゾスピロピラン誘導体モノマーの相互作用と,生成すると思われる複合体の構造を,分子間相互作用シミュレーション用ソフトウエアにて予想し,鋳型分子コレルテロールとベンゾスピロピラン誘導体モノマー分子間相互作用について知見を得た。異性化前と異性化の後の分子間相互作用は大きく異なり、重合した後に鋳型効果によりさらに分子認識能の向上が期待されることから、シミュレーションの段階では、本研究は、良好な結果を得ることが予想できる。
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