研究概要 |
自励振動ゲルの表面に繊毛状突起のマイクロ構造を形成することによって人工繊毛の実現を試みた.繊毛状突起の製作には,新規に提案するゲルのマイクロ成型加工技術を用いた.プロセスシーケンス概要を以下に示す.まずシンクロトロンから放射されるX線を利用してポリメチルメタクリレート(PMMA)製3次元マイクロ鋳型を製作し,次にこの鋳型内でゲルを重合反応させて自励振動ゲルの繊毛状突起を形成する. (1)PMMAにX線マスクを介して波長数ÅのSR放射x線光を照射する. (2)X線照射により低分子化したPMMAを現像液で溶解・除去する. (3)PMMA表面に金を0.1μm蒸着した後ニッケル電鋳を行う. (4)電鋳したNi金型をPMMAから剥離し,ポリメチルジシロキサン(PDMS)を成型して構造を転写する. (5)PDMS上にIPAAmモノマー溶液を注入,重合させて成型し,人工繊毛構造を転写形成する. 作製した繊毛状突起は底部直径100μm,高さ300μmの円錐台形状構造が250μmピッチでアレイ状に配置された構造である.ゲル中の反応波の伝播に伴う繊毛状突起先端部の挙動を解析した.顕微鏡(×200)下で繊毛状突起を側面方向から観測しデジタルビデオに記録した後,動画解析処理システムを用いて記録画像上に指定した計測点A, Bの2次元的な移動量を数値化することに解析を行った.繊毛状突起先端の挙動解析結果から,突起先端が楕円軌跡を描いて動作していることが明らかとなった.
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